Hugo

『ヒューゴの不思議な発明』鑑賞
ユゴーの不思議な発明』*1を映画化。
スコセッシ、こんなのも撮れるのね。


題名に偽りあり!
ヒューゴは何も発明してなくね?


それはさておき。


CMから受ける、YAファンタジー的な印象と実際の内容はだいぶ隔たりがあり、キーアイテムである自動人形(って字幕にして欲しかったなぁ……)も実はあまり出てこない。
これは「映画」というメディアそのものがファンタジーである、という映画讃歌の直球テーマ。そりゃ、批評家好きだよ!(笑)
我ら特撮っ子ならば知らぬものはいない、ジョルジュ・メリエスの物語。彼の作品、功績は知ってるけど、その晩年は知らない人も少なくないのでは? 作中に描かれる境遇は実話を元にしているみたい。
スチームパンクビルドゥングスロマンスというガジェットと舞台でミスディレクションし、返す手で、映画黎明期とその父をあらわにするイリュージョンはお見事。


とは言えスチームパンクが添え物では終わってない。登場人物たちはみな辛い過去に縛られて、前に進めないものばかり。それが歯車(からくり)によって、人生を好転させていく。特に公安官の存在が象徴的。作中でヒューゴが言う「世界は一つの機械で、そうならば無駄な人間はいないはず」という台詞につながっていく。
舞台を物語に意味を持たせていて、スチームパンクとしてもよく出来てるんじゃないかなぁ。


3D映画としては、壁の中の生活、無数の歯車、降雪という舞台によって、奥行き感は必然的に設定されている。
でも、むしろ映像ではなく、最新技術でメリエスを描くことに意味があるんだろうね。
幼少時より怪獣百科で見てきたグロテスクな海底の様子や、月の顔に刺さるロケットを3Dで観られるだけで、映画館に足を運ぶ理由になるんじゃないでしょうか。


キャストは、公安官が見覚えあるなぁ、と思ったら、『ボラット*2か(笑)今回はいい役。
クロエ・モレッツはでかくなったなぁ。もうヒットガールは無理じゃね?