Looper



『LOOPER/ルーパー』鑑賞

BRICK ブリック」のライアン・ジョンソン監督とジョセフ・ゴードン=レビットが再タッグを組んだSFアクション。ブルース・ウィリスとゴードン=レビットの主演で、30年後からやってきた未来の自分と対じする暗殺者の姿を描く。タイムマシンの開発が実現するも、法律で使用が禁じられている近未来。法を恐れぬ犯罪組織が、消したい標的をタイムマシンで30年前に送り込み、そこにいる「ルーパー」と呼ばれる暗殺者に標的を殺させていた。凄腕ルーパーのジョーはある日、いつものようにターゲットの抹殺指令を受けるが、未来から送られてきた標的は30年後の自分自身だった。

念力って……


以下ネタバレ。
ただでさえ、タイムパラドックスものなんで、未見の方はスルーの方向で。


「未来の自分を殺さなければならない!」というアイデアだけで、それ以外の掘り下げが激しく浅い。
面白かったのは、ゴードン=レビットがいきなりハゲ老けるところと、タイムパラドックスを逆ギレとファジーの一言で済ますところかな。
時間差拷問は、ビジュアル的になかなかよかったかな。


舞台が未来(2044年)である必要性が、ほとんどないんだよね。特に際立ったハイテクや、世界情勢が出てくるわけでもないし。
唯一、現代を舞台にできない理由が、ミュータントの存在。ただ、これも、ラストの念力オチのためだけの舞台設計だから深みがない。タイムトラベルと念力という、理由が異なるパラノーマル成分が並立しているため、作品内リアリティを著しく下げることになっている。


そもそも、このタイムトラベルの練り込みが全くダメ。
犯罪組織だけがタイムトラベルを使ってるなら、もっと色々やればいいのに。ナノGPSの発明者を過去で殺しちゃえば、いちいち死体処理に銀塊なんて費用かからないし。
そういうことができないっていう理屈をつけて欲しいんだよね。ステーキ食べながら逆ギレしてないで(笑)


だいたい、「30年後の自分が送り込まれてきて、それを処刑する」というアイデアは面白そうなんだけど、その作品の根幹からして疑問符だらけ。
「ルーパー引退=30年後の自分の処刑」が単なる秘密漏洩防止のためって。金塊もらった後にバラされたらどうするの? それこそ、因果律の輪云々な理由にすればいいのに。


で、「ルーパー」という題なんだから、シドが実はジョーの過去とループして欲しかった。ジョーが幼い頃のことをよく覚えていないという台詞にも繋がるし。
題名に反して、因果律の輪にはとんと無頓着な映画なので、期待するのが無理だけど。


SFヲタ的ツッコミだけでなく、始まってしばらくしての画面の雰囲気も、なんかつまらなそうだなぁ、という予感。上映時間も長いかなぁ。