Super

『スーパー!』鑑賞


コスチュームヒーローがリアルに存在したら? というと『キック・アス*1の二番煎じのようだけど、あれとはかなり質感が違う。個人的には『キリング・ジョーク*2に似てるかな。


キック・アス』がコスチューム着ちゃうのがイタイ人、という表現だったのに対して、こちらは、コスチュームを纏って暴力を平気で振るえる人間は、犯罪者同様に壊れた人間。むしろ、コスチュームの力と神の啓示という建前で、単なるマナー違反でさえも激烈に断罪してしまうクリムゾンボルトはもはや狂人。
暴力描写は陰惨かつ皮肉っぽく、「BLAME!」とか吹き出しが添えられても、実際は血肉を撒き散らし、腕や頭が吹き飛んでいるんだよね。それはヒーローだろうとギャングだろうと変わらず、美化できるものでない。
キック・アス』との一番の差異は、キック・アスがまたヒーローに戻る可能性があるのに対して、クリムゾンボルトが戻ることはないということ。大いなる善をなしたわけでもなく、彼の行動原理は完全な独りよがりで、彼が得たものは少ない。また、大局的に見れば彼は正義を行ったのかもしれないけど、ミニマムな視点では暴力は耐え難いことが描かれている。ヒーローは配偶者を持つべきではないと。


俳優陣は、クリムゾンボルト以上に狂ったサイドキックのボルティーエレン・ペイジの怪演が、もう印象的。どうしちゃったの?(笑)
敵は『X-MEN*3に続いて、ケヴィン・ベーコン。ヤサグレさが光る。


アメコミ好きならオススメ。