セカンドウィンド3

セカンドウィンド 3

セカンドウィンド 3

続き出ないなぁ、と思ってたら、出版社を移籍して、しかも単行本! 見つからないはずだよ。
おまけに、出たの1年前だし……

早くも青春スポーツ小説の金字塔の呼び声高い名作シリーズ第3巻、堂々の登場。南雲真一、今泉昇ら三年生部員が引退し、主人公・溝口洋は、キャプテンとして南雲学院高校自転車部を率いる立場になっていた。自転車部を取り巻く環境も徐々に変わりつつある。予算が削減される中、スパルタンな新任コーチが就任。その指導への離反やインターハイ連覇を義務づけられたプレッシャーで、チーム内の不協和音が高まる。それは必然的にキャプテンである洋に大きな波濤となって押し寄せる。親友でありエースでありライバルでもある岳との切磋琢磨で、洋はどう成長していくか。連覇は達成できるのか。そして多恵や茜への思いは……? 大人の世界への旅立ちを前に、もがく少年たち。かつてない大激走の闘いを経て、やがて洋や岳たちは卒業を迎え、それぞれの夢を実現するため、進路を選択するが……。躍動するキャラクター群。激烈なレース描写。怒涛のスピード感。誰もがかつて経験した友情や恋心……。自転車という乗り物への愛と、若者たちのすべてが正面から描きつくされる青春スポーツ小説の決定版。この戦いからもう誰も目が離せない!

というわけで前巻*1読んだのが、2年以上前だから、いろいろうろ覚え。


まるで、アタックかけた瞬間にシャッターを切るかのように、いいところで本を終わらせ、一気に時間を飛ばして次巻を始めるのが上手い作者だと思う。
ただ、今回はその端折りがマイナスに働いているように思える。前巻同様、また怪我から始まるし。
洋、岳、多恵って三角関係を匂わす感じだったのが、今回まるでない。2巻との間に何があったの!? その代わりに茜がしゃしゃり出てくんだけど、正直必要性が感じられない。


自転車シーンは、これまでイマイチ印象の薄かったチーム戦略が出てきたりしていいんだけど、キャラクターの描写に対して本のボリュームが足りない気がする。
それが、三角関係や茜のアンバランスに現れていると思うんだけど、個人的には新キャラの奥寺の扱いがもったいなさすぎる。彼のトレーニング方法はもっと見たかったなぁ。他にも、アトムや黒豹など魅力的なライバルがいるのに、彼らの描写が少ない。また、洋の真の力もよく分からないままなのも不満。岳がパンターニみたいなことになっちゃうのは笑えるけど。


青春モノなんで、いろんなことで悩むのはいいんだけど、それぞれが消化不良。
上下巻にして、援助費削減なども含めて、もっと書き込んで欲しかった。このボリュームだと、シリーズ通しての謎である洋の母親も余計に感じてしまった。