The 6th Pan Book of Horror Stories

終わらない悪夢 (ダーク・ファンタジー・コレクション)

終わらない悪夢 (ダーク・ファンタジー・コレクション)

ソノラマ海外の『魔の○○』シリーズ4冊を編み直しただけのものではないかと危惧していたものの、その続きのアンソロジーを訳したらしいということで着手。

収録作品
・「終わらない悪夢」……ロマン・ガリ
・「皮コレクター」……M・S・ウォデル
・「レンズの中の迷宮」……ベイジル・コパー
・「誕生パーティー」……ジョン・バーク
・「許されざる者」……セプチマス・デール
・「人形使い」……アドービ・ジェイムズ
・「蠅のいない日」……ジョン・レノン
・「心臓移植」……ロン・ホームズ
・「美しい色」……ウイリアム・サンソム
・「緑の想い」……ジョン・コリア
・「冷たい手を重ねて」……ジョン・D・キーフォーバー
・「私の小さなぼうや」……エイブラハム・リドリー
・「うなる鞭」……H・A・マンフッド
・「入院患者」……リチャード・デイヴィス
・「悪魔の舌への帰還」……ウォルター・ウィンウォード
・「パッツの死」……セプチマス・デール
・「暗闇に続く道」……アドービ・ジェイムズ
・「死の人形」……ヴィヴィアン・メイク
・「私を愛して」……M・S・ウォデル
・「基地」……リチャード・スタップリイ

原著の発売から40年以上、さすがにどれも古い。古い作品がつまらないなんて言うつもりは毛頭ないけど、ここに掲載されている作品は、古びているとしか言いようがない。当時、センセーショナル(だったかもしれない)なホラーガジェットの原液は、21世紀に口にするにはちょっと物足りない。
それでも、お気に入りを選ぶとしたら、
・「終わらない悪夢」
 ナチの強制収容所を生きのこった仕立て屋。
 彼は夢だった南米に渡り、そこで商売を始める。
 ある日、死んだと思っていたかつての商売仲間に出会う。
 腕は衰えていないが、今も収容所時代のトラウマに悩まされている。
 再び、彼と仕事を始めるが、夜になると彼はどこかへと出かけて……
 普遍的な恐怖と狂気が描かれた作品。これが唯一の収穫。
 最初がこれだったから、期待しちゃったんだよなぁ。


・「蠅のいない日」
 あらすじをまとめられない、変な短篇。
 この中では、一番現代的な異色・奇想短篇。
 作者は、あのジョン・レノン。同姓同名かと思ってた。


・「入院患者」
 私設動物園を持つほどのコレクター。
 彼はゴリラを取り寄せるが、今まで興味がなかった妻がそのゴリラに魅入られ……
 まぁ、オチは割れるんだけど、ラストのグロテスクさは好み。


・「パッツの死」
 収容所で無数の人体実験を繰り返した外科医。
 彼の死刑もついに決まるが、常に彼は周りを挑発するような言葉を繰り返し……
 狂った医師の最期はどうなるのか? ラストへ向けての高まり方がスリリング。