1972年8月号

「幻想と怪奇特集」



特集短篇は6本
・「愛のヴァリエーション」……ジョン・コリア
ジョージの元を訪れた、二人の男
彼は来訪者を予期していた。
二人は彼の妻のことを訊くが、彼女の姿はなかった……
お決まりの展開で主人公の心拍数が上がるのが聞こえるようだけど、物語は違うレイヤーを進んでいく。
上手いなぁ。


・「想い出」……デイヴィッド・H・ケラー
久々に、遠い親戚の病理学者のもとを訪れた男。
常に決まったとおりに行動する病理学者。
彼に亡くなった奥さんのことを尋ねると……
既読なんだけど、全く記憶になし。
嫌な話だなぁ。
『漆黒の霊魂』*1所収。



・「情事」……メイ・シンクレア

いかがわしい噂のある女と再婚した男。
しかし、二人の間に、亡くなった妻が現れ……
思いの外、エロティックな結末。
『淑やかな悪夢』*2などに所収。


・「赤い脳髄」……ドナルド・ウォンドレイ
宇宙の全ては塵と化し、唯一残ったアンタレス
そこの生物たちはなんとか対策を考えるが、ことごとく失敗する。
そんな中、一人の天才が思いついたのは……
『怪奇と幻想2 超自然と怪物』所収


・「ロバータ」……チャールズ・ボーモント
厳しい母に育てられているロバータ
言いつけを守らないと、かわいがっているペットが殺されてしまう。
しかし、ロバータは女として育てられている少年だった……
この手のサイコものの原型が見えながら、古びず、今でも面白い。
『怪奇と幻想3 残酷なファンタジー』所収


・「幻の乗合馬車」……E・M・フォスター
存在しない乗合馬車に乗って、不思議な世界に行った少年。
親は信じてくれないが、近所のおじさんが確かめるために同乗するが……
『怪奇と幻想3 残酷なファンタジー』などに所収。