奇妙な紳士同盟または超常紳士同盟

The League of Extraordinary Gentlemen

The League of Extraordinary Gentlemen

 今年、ショーン・コネリー主演で公開する(間に合うの?)、
 『League of Extraordinary Gentlemen』の原作を読了。
 ……人様の翻訳を借りて読んでるから、『読了』なんて偉そうに言えないけどね。


 19世紀末、イギリス。諜報部員キャンピオン・ボンドは、上司Mの密命を受けて、特殊任務のためのメンバーを集める。
 ミナ・マリー、アラン・クォーターメン、ネモ船長、ジキル博士、グリフィン。
 彼らは、イギリス制服を目論む中国人フー・マンチューの野望を阻止するため、奪われた反重力物質カーボライトを取り返すべく、チャイナタウンに向かうのだが、更なる陰謀が……
 というようなあらすじ。


 簡単に主人公の解説をすると、
 紅一点のミナはジョナサン・ハーカーとは離婚してます。元ネタ分かりますね。
 クォーターメンはハガードの冒険小説の主人公。ウェイン町山のエッセイによると、『インディ・ジョーンズ』の原型だから、ショーン・コネリーが演じているそう。
 ネモ船長は『海底二万マイル』の主要キャラ。日本でも有名ですね(笑)
 ジキル博士は『ジキルとハイド』の主人公。
 グリフィンはウェルズの『透明人間』の主人公。権利問題で、映画では名前が違うそう。


 こんな感じで、メインキャラもちょい役も、名前のあるキャラクターは全て当時を舞台にした小説などから借用。たぶん、背景とかモブにもそういうお遊びが施されていると思われます。博物館にヤフーとかリリパットの標本があったし。


 これを聞いて、おっ、と思った方もいるかも。個人的超名作『ドラキュラ紀元』の漫画版と考えるとイメージしやすいかな。
 『ドラキュラ紀元』+『ラピュタ』といった感じです。


 ネモ船長がかなりイカス。
 連写銛撃ち銃での虐殺シーンは失禁もの(笑)
 ノーチラス号もカッコイイです。
 ネモ船長が渋いってのは万国共通?


 海外には、こういう虚実ない交ぜの、もう一つの歴史ものってのがけっこうありますね。
 日本だと、『帝都物語』が一番近いのかな。
 向こうの作家にとっては、19世紀末のロンドンってのはかなり魅力的なのかな?
 『FROM HELL』の切り裂きジャックの台詞じゃないけど、現在のカルチャーに直結してる、「昔」なんでしょうね。
 それにしても、マイクロフトは出さずにはいられないキャラの模様。


 TP(単行本)で買ってるから、リーフは分からないんですけど、
 おまけで、クォーターメインの冒険小説や、ドリアン・グレイぬり絵が載ってます。
 芸が細かい。
 話は一応完結してるんですけど、ラストで何かが降ってくるシーンで終わり。19世紀のイギリスを騒がした事件とは? Vol.2もTPになったら買わねば。


 この手のジャンルが好きな人はしびれます。
 オススメ。