THE GREAT GAME

終末のグレイト・ゲーム (ハヤカワ文庫SF)

終末のグレイト・ゲーム (ハヤカワ文庫SF)

いずこより飛来した人ならざるものが統べるヴィクトリア朝英国。“静かなる革命”が成り、自動人形による議会が権力を掌握するフランス。その二大国家の陰で巨大機械トライポッドを操るさらなる勢力が暗躍を始め、欧州大陸の情勢は混沌の度合いを深めていた。そんななか、引退した英国諜報局スパイのスミスは、元上司マイクロフト・ホームズとかつての恋人アリスの死を知り、真相を追い始める……。冒険SF三部作完結篇

〈ブックマン秘史〉もこれにて完結。


はじめは、『ドラキュラ紀元*1や『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』*2的な作品かと思っていたら、どんどんヴィクトリア朝を逸脱し、サンプリングは時代も国も無視、まさにフィクションのごった煮の様相を呈していた『影のミレディ』*3を上回る勢いで、今作は何でもありの状態。


舞台は、引退した諜報員たちが住む村から始まり、主人公の家には〈ナンバ−6〉とある……


完全に20世紀スパイ小説(キャラも展開も)で、どうしてこれみよがしにアストンマーチンが出てこないのか、しばらく悩んだほどw


前二作があまり直接的なつながりが感じられなかったのに対して、3巻はそれらが収束していく。
これだけで三部作書けるような、性急とも言える展開で、事件もキャラもどんどん投入。
フーディーニ、ブラム・ストーカー、ルーシー・ウェンステラ、バベッジクルップバロネス・オルツィ、トライポッド……
他人のキャラだからと言わんばかりに、どんどんどんどん使い捨てw


ちなみに、SFMに掲載された「ストーカー・メモランダム」*4は、第六部に出てくるストーカーの日記の完全版(?)


個人的には、『文学刑事サーズデイ・ネクスト*5的にシッチャカメッチャカになったフィクションの世界が舞台で、ブックマンの目的は、我らが知っている本来の物語に修正すること、として読んでしまったw


三部作通して、おもちゃ箱として、大変楽しい作品だった。


"OSAMA"も翻訳希望〜