THE BLIND ASSASSIN

昏き目の暗殺者

昏き目の暗殺者

『昏き目の暗殺者』マーガレット・アトウッド早川書房)読了。


惑星ザイクロンを舞台に、目の見えない暗殺者と口の利けない少女の愛と逃亡、そして、王国の崩壊を描いた物語……
の作者は、何者かから常に逃げている男。そして彼を愛する家族ある女の物語『昏き目の暗殺者』……
の作者、若くして亡くなったローラの姉、アイリスが語る一族の興亡と愛憎の物語。


簡単にあらすじを描くと、釦製造で財をなしたチェイス家の娘アイリスとローラ。
しかし、家は没落し、政略結婚のため、アイリスはグリフェンと結婚する。愛も自由もない生活。
変わり者のローラは24歳にして、事故死する。
彼女の処女作にして遺作、『昏き目の暗殺者』は半世紀にも渡って読み継がれる名作を残す。
そこに描かれた男と女のモデルは誰なのか? 彼女は自殺だったのか? 家族の秘密は?
と言うような感じ。


先にも書いたように、一番内側にSFファンタジーがあって、その次がそれを書く男と女の物語『昏き目の暗殺者』、
次が回想された人生の若きアイリスの一人称、外側が現在の老女アイリスの一人称。
そして、合間に客観的な彼らの新聞記事が挿入される。
という入れ子構造になっている。


ローラの描いた『昏き目の暗殺者』に出て来る人物――暗殺者と少女、男と女――は、誰かを象徴していて、そ
れはいったい誰のことを指しているのか?
と言うのがメインなのかな。


最後まで読むと、描かれた人物と事件が何を指しているのかわかる。
本当はも一回、掘り下げて読むべきなんだろうけど、ボリュームがかなりあるので、疲れた。
もっと、仕掛けられているような気がすんだけどね。