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『VHSテープを巻き戻せ!』鑑賞


家庭で映画やドラマを鑑賞するホームビデオ文化が広がり、クリエイターはローコストで映像制作が可能になりチャンスが到来するなど、現在のメディア消費文化の礎を築き、世界を変えたVHS。ベータマックスとの家庭用VTR規格での熾烈な争いなども含め、隆盛を極めた1980年代から、やがて衰退していくまでのVHSの歴史を、ロイド・カウフマンやアトム・エゴヤン、ジェイソン・アイズナーらフィルムメーカーのインタビューも交えながら紐解いていくドキュメンタリー。

「巻き戻し」という単語は、その意味以上のノスタルジーがあるよね。


ゲームセンターの歴史を描いたドキュメンタリー『100YEN』*1のVHS版、という表現が一番伝えやすいんだけど、伝わらなそうだなぁw


平成生まれは置いてけぼりになること確定の作品なんだけど、かつての映画キッズにはニヤニヤが止まらない作品になっております。
映像にノイズが入ってたら、次のシーンは人間が爆発するかおっぱいが出てくる、ってDVD世代には全く理解できないだろうなぁ。


ビデオ戦争は、高画質のベータではなく、2時間取れるVHSの勝利に終わる。
これは歴史の大きな分岐点で、2時間は映画一本入る容量。これによって、映画が映画館以外で、TV放映を録画で、という新しい時間と空間への認識が生まれる。
シネフィルはそれまでも存在していたんだろうけど、収集を目的とした映画オタクが生まれたのはこの時だろうなぁ。
出てくる、現役コレクターはアホな子(褒め言葉)ばかりw VHS生産終了を機にタトゥー彫っちゃうくらい。
並べ方も人それぞれ。アルファベット順もいれば、ジャンル順もいるし、パッケージの色で分けてるなんて人もいる。一番変だったのは、壁に沿って積み上げ、観たいビデオは下から引っこ抜く! ってお気に入りなら上の方に置いとけよ!
また、自主制作もVHSとともに成長。


他にも、監督、バイヤー、パッケージアーティストなど、様々な関係者にインタビュー。押井守など日本の業界人も出てくる。


監督の狙いは、ノスタルジーもあるんだろうけど、ビデオスルーの映画、というのももちろんVHS隆盛とともに誕生したジャンルだけど、それらはデジタル化されてない作品が山のようにあり、早くそれらをアーカイブ化しないと永遠に消滅してしまう、という注意喚起もあるとか。
Vシネ関係者も出てくるけど、当時はそんなこと考えてもいなかったと言ってるしね。


今もビデオで自主制作映画を撮ってるおっさんがラストに出てくるんだけど、この言葉が胸に刺さる。
「才能とか、金が無いなんて言い訳するな! とにかくやれ!」