The LEGO Movie



『LEGO(R) ムービー』鑑賞


世界で幅広く親しまれている玩具「レゴ」を題材にした3Dアニメーション。特徴もなく、ただマニュアル通りの日常を繰り返すことになんの疑問も抱いていない平凡なLEGOフィギュアの作業員エメットは、ひょんなことから世界を救う「選ばれし者」と間違われてしまい、LEGOワールドを思うがままに支配しようと企むおしごと大王の野望を阻止する冒険に出るはめに。ヒーローになる覚悟も自覚もないエメットだったが、世界を救うため個性的な仲間や人気ヒーローたちと悪に立ち向かっていく。監督は「くもりときどきミートボール」のフィル・ロードクリストファー・ミラー。日本語吹き替え版では、森川智之山寺宏一沢城みゆきら8人の声優ですべてのキャラクターを吹き替えている。

字幕3Dと吹替2Dで二回鑑賞。


オタク、特におもちゃ系の大きなお友達は自戒せよ! と耳が痛くなる映画w


LEGOも映画も好きなんで長文注意。


絶対零度的な予告に絶望された方も多いと思うけど、あれはあくまで予告用吹替で、本編の方は大丈夫。


ちなみに英語版では、ウィル・フェレルモーガン・フリーマンリーアム・ニーソンジョナ・ヒルチャニング・テイタムなどなど、豪華な面子が声を当てている。C-3POアンソニー・ダニエルズですよ! ただ、字幕上映が圧倒的に少ない上、あちこち動いている画面は、字幕だと追えないので、構築された世界を楽しむなら吹替をオススメ。


内容の前に、映像のことを語ると「主文後回し」感が強いけどw、LEGOが動いている映画なんで、まずは超巨大なLEGOワールドから触れない訳にはいかない。
まさか、本当にLEGOストップモーションやったの? 正気? というくらい、質感はLEGOそのもの。動きもわざとストップモーション的な処理をしている。なめらかな動きを見せるキャラは、ちゃんとなめらかな動きをするパーツ(ヒンジとか)を使っているんだよね。
LEGOが好きなら、巨大な街(世界)を作ってみたいと思ったことが一度ならずあるはずで、まさにこの映画はその中に入れる。
視界がLEGOしかない、というのは、まぁ楽しいですよ。


物語自体は『マトリクス』*1に似てる。平凡だと思っていた主人公が救世主で、この世界の真の姿に気づいてそのレイヤーを行き来する、というもの。世界に理りを知るものは物理現象さえ我が物にできるのが『マトリクス』だったけど、こちらはパーツの管理番号(LEGOは全てのパーツに固有のナンバーがついてる)が見える、という表現がフィクションライン的にも良く出来ているし、何よりわかりやすいw


マニュアルどおりの人生、という表現はよくあるけど、この作品はLEGOだから、それが比喩ではない。また、主人公はLEGOと聞いて思い浮かぶ、ごくごくありきたりのニッコリちゃんフィグ(まぁ、髪は新パーツなんだけどw)
平凡な人も、実は一人ひとりが特別、というのは、よく見る展開だけど、この作品が凄いのは「マニュアルどおり」を否定してないんだよね。
むしろ、LEGOは「マニュアルどおり」から始まり、それをバラし、発展させ、新たなものを作っていくおもちゃ。
この作品で否定されているのはゴール。ゴールを決めることにより、可能性を潰してしまうこと。LEGOは想像力さえあれば、無限に何でも作れる。
だからこそ、主人公はありふれた人間(=ありきたりのパーツ)で、マスタービルダーたちは固有のキャラクター(=特殊パーツ)。ごく普通のパーツこそが、無限への可能性を持っていることを示しているのだ。
すべてのLEGO住人たちがなんでもありな自由な作品で、敵に立ち向かうシーンはグッと来る。


手をつなぐ行為がラブシーンに匹敵する表現なのもいい。可動域の少ないLEGOにおいて、握手させることが、情感を最もよく表せるんだよね。


おしごと大王の秘密兵器の一つ、綿棒と除光液が出た瞬間に笑った人は、俺と同じく魔道に踏み込んだことがある人間のはずw
LEGOの隣にシンナーは常備ですよ。
ただ、スパボンはやってる人、いるの? 少なくともLEGOやってる知り合いの中では聞いたことないよなぁ(お店のディスプレイは別だけど)
ジオラマが作るのが目的なら、あるのかなぁ……
エメットが見つける奇跡のパーツの正体もわかりやすい。酸素と化合して白っぽくなってるもんなw


キャラクター映画としても、かなり離れ業を展開していて、バットマンハン・ソロガンダルフニンジャ・タートルズシンプソンズダンブルドアが共演するって凄くない?
激しく残念なのは、スパイダーマンが出てこなかったこと。大人の事情なんだろうけど、実際にはひじょうに困難を伴う共演だから、せめてLEGOではバットマンスパイダーマンが並んで欲しかったなぁ。
また、LEGOとは関係ないジャンルネタもちょいちょい仕込まれている。ワンダーウーマンの見えない飛行機とか、SWのスペース・スラッグとか。ウェスタワールドで豚に引かせる車がデロリアンに似てるのは気のせい?
グリーン・ランタンがかなり残念な子扱いなのは、実写版*2が残念な出来だったから?


お子様も大人も、それぞれ違う視点で楽しめる作品なので、是非オススメ! 黒いパーツこっちに回して、といったことある人は是非行くべし。
二段ソファはミニセットとして、映画館限定商品とかすればいいのになぁ。


以下、ネタバレとLEGOネタなので、興味ない方はスルーで。


一番のお気に入りキャラは、80年代の宇宙飛行士ベニー。彼が作る宇宙船が80年代デザインなのがもうたまらん。
この頃のヘルメットは顎の部分が割れやすいのよ! さらに服の印刷も削れやすいし。ホントに製作者はよくわかってるらっしゃる。
ここから推測できるのは、ベニーは上にいるお方が子供時代に遊んでいたおフルということ。なぜなら、ちょっとだけでてくるクラシックスペースのフィグは綺麗だから。これはコレクションとして最近入手したものだと考えられる。
ちなみに、バッド・コップの両親の家が、これまた70〜80年代なのもいいね。


上にいるお方は、昔LEGOをやっていて、しばらくは惰性で、ここ10年くらいでまた再燃したのかなぁ、と妄想。
ロックシティがモジュール形式なんだよね。カフェコーナー*3見て、作りたくなっちゃったんだろうなぁw
エメットが暮らすアパートはシティホール*4の組み換えで、その隣はマーケットプレイス*5風のアパート。カフェコーナーやグリーングローサー*6を元にした建物も見える。
あんな広い地下室あるなら、街作りたいよなぁ。
エメットの車が、4ポッチ幅のコンパクトカーなのは、上にいるお方は80年代のLEGOを知っているに違いない、という伏線と観るのは考えすぎ?


工事作業員と警官がやたら多いのは、現在のLEGOのラインナップを反映しているのかしら?


上にいるお方の作業場(LEGOの)が、もう、知人の家かと思ったよw 壁一面のパーツ整理用の引き出しとかさ! フィグのコレクション壁掛けもあったね。


で、デュプロだよな〜w