ラテン・アメリカ怪談集

『ラテン・アメリカ怪談集』鼓直・編〈河出文庫542A〉
ラノベ週間第3弾

 収録作品
・「火の雨」……レオポルド・ルゴネス
・「彼方で」……オラシオ・キローガ
・「円環の廃墟」……ホルヘ・ルイス・ボルヘス
・「リダ・サルの鏡」……M・A・アストゥリアス
・「ポルフィリア・ベルナルの日記」……シルビナ・オカンポ
・「吸血鬼」……マヌエル・ムヒカ=ライネス
・「魔法の書」……エンリケアンデルソン=インベル
・「断頭遊戯」……ホセ・レサマ=リマ
・「奪われた屋敷」……フリオ・コルタサル
・「波と暮らして」……オクタビオ・パス
・「大空の陰謀」……アドルフォ・ビオイ=カサレス
・「ミスター・テイラー」……アウグスト・モンテローソ
・「騎兵大佐」……エクトル・アドルフォ・ムレーナ
・「トラクトカツィネ」……カルロス・フェンテス
・「ジャカランダ」……フリオ・ラモン・リベイロ

怪談と銘打ってはいるものの、変な話ばかりで、大変好みの短篇集でした。


お気に入りは、
・「火の雨」
 ある日突然、空から焼けた鉛が雨のように降ってくる。
 町は燃え、屋敷に一人潜む男は……
 破滅ものとして、赤銅色のヴィジュアルが素晴らしい。


・「円環の廃墟」
 一人の完璧な人生の夢を見ようとやって来た男。
 彼は教師の人生を夢見始める。 


・「ポルフィリア・ベルナルの日記」
 幼い少女の家庭教師としてやって来た女性。
 少女が書き始めた日記には……


・「吸血鬼」
 吸血鬼ではないかと噂される、凋落した貴族の老人。
 映画会社が、彼の城を舞台に撮りたいとやってくる。
 城も彼自身も、まさに雰囲気十分なのだが……


・「魔法の書」
 古本屋の均一箱で奇妙な本を見つけた講師。
 文字の羅列でまるで読めないのだが、ふと読める一文が目にはいる。
 それは永遠に続く本で、ちょっとでも気がそれると、読めなくなってしまうのだ。
 彼は準備して、読み始めるが……
 「円環の廃墟」と似た感じなんだけど、本がテーマでこちらに軍配(笑)

  
・「奪われた屋敷」
 既読
 個人的には、まっくろくろすけみたいのに部屋が占領されていくイメージ。


・「波と暮らして」
 既読
 ラストの無機質な扱いがいいなぁ。


・「大空の陰謀」
 新型戦闘機のテスト飛行を行った大尉。
 事故があったらしく、目が覚めると病院。
 しかも、誰も彼のことは知らず、外国のスパイだと思われている。
 はたして?
 SFではよく見る類の話なんだけど、味付けが欧米SFと違うので、何とも不思議な触感。 


・「ミスター・テイラー」
 既読
 蒐集癖、乾し首好きとしては見逃せない逸品。
 しかも、それが一国を破綻させるとは。