HOUSE OF DARK SHADOWS

ダーク・シャドウ 血の唇 (扶桑社ミステリー)

ダーク・シャドウ 血の唇 (扶桑社ミステリー)

米国メイン州の海辺に広大な敷地や屋敷を持つコリンズ一家。独立戦争前から長い歴史を誇るこの家には、無数の伝説や幽霊話が残されていた。ある日、古い詩が財宝の在りかを示す手掛がりだと考えた使用人ウイリーは謎の棺を見つけた。だが、そこには二百年前から封印されていた吸血鬼が眠っていた! 時代を超えて復活した謎の吸血鬼はコリンズ家の人々に何をするのか? ジョニー・デップティム・バートンが子供時代から憧れて完全映画化した伝説のロマンティック・ホラーの原点が、ついに登場!

ティム・バートン監督『ダーク・シャドウ』の原作……ではなく、ノベライズでもない。それは何と尋ねたら、1970年版の映画のノベライズ。


あとがきを借りると、『Dark Shadows』は六〇年代にアメリカで大ヒットしたソープオペラ。そんな昼メロの存在も知りませんでした。『Mad Monster Party』*1と関係あるの? と思ってたくらい。その総集編として、二度映画化されていて、1970年版は『血の唇』の邦題で日本でも上映。って、このポスター知ってる!
そんな、結構変な来歴(翻訳ものとして)の小説。このタイミングで出しとかないと、永遠に出ないもんね(笑)


総集編のさらにそのノベライズということで、非常にライト。ゴシックテーマの昼メロということで、キャラクターはたくさん出てくるんだけど、知っているという前提なのか、各々のキャラクター描写の掘り下げはない(ロジャーの妻は? 妹の旦那は? 首吊り少年は? バーナバスはなんで封印されてたの?)。
そもそも、今度やる映画のイメージで、コメディタッチだと思い込んでいたから、かなり普通の吸血鬼ものでそのギャップに驚いた。
ゴシックホラーとして読むとその軽さはネックで、かなりサクサク犠牲者が出て、まさに東京12チャンネルの昼間に見てた映画みたい(笑)


しかし、中盤から展開が結構変。
パラノーマル・ロマンスの原点とも言われる作品らしく、旧来のゴシック寄りではあるものの、確かに人間×異形の関係性を恋愛の障壁に転化している。しかし、この壁の超え方が変で、吸血鬼ものとしても変わってるんじゃないかなぁ。SFなら既視感あるアプローチだけど。
そこから始まる三角関係(四角? 五角? 六角かも?)で膨らませて行ったら、ドロドロして面白かったと思うんだけど、尺が足りず残念。


珍品までは行かないけど、21世紀現在においては珍味にはなってるかな(笑)