1969年8月号

「特集:幻想と怪奇」



・「葦毛に乗った女」……ジョン・コリア
 田舎で友人と落ち合う約束をした遊び人の青年貴族。
 そこで、葦毛の馬に乗った美女に一目惚れする。
 彼女の屋敷を訪れるが……
 オーソドックスな怪奇譚なんだけど、だからこそ普遍的に面白い。


・「ドラキュラの客人」……ブラム・ストーカー
 ワルプルギスの夜、近隣の住人が近づこうとしない土地に入り込んだ男。
 そこで、巨大な墓石を見つけ……
 不勉強で恥ずかしいんだけど、これって、「ドラキュラ」本編と関係あるの?


・「大きな、広い、素晴らしい世界」……チャールズ・E・フリッチ
 度胸試しで「悪夢を見よう」と集まった青年たち。
 見やすいように、薬を打って横になると……
 どういう世界で、悪夢とはなんなのか、まるでわからないショートショートなんだけど、この訳のわからなさが余韻を残す。
 この号では一番好き。


・「血は命の水だから」……F・マリオン・クロフォード
 満月の夜、女の姿が見える塚。
 そこに秘められた物語は?
 

・「エスターはどこ?」……エイヴラム・デイヴィッドスン
 ぼろアパートに暮らす黒人の家政婦。
 働いてる屋敷の屋根裏部屋に住みたいと思っているが、奥様に気に入られていないため、それも叶いそうもない。
 以前読んだ時にはなんとも思わなかったけど、けっこう嫌な話だな。
 奥様は、特に際立って意地悪でもないのに、それに見合わない罰を受けているように思えるんだけど。


・「女」……レイ・ブラッドベリ
 海辺の町でバカンスを過ごす男に恋した海。
 彼が一歩でも海に浸かれば、自分のものにできるのだが……
 「デッド・リーフの彼方」*1に似た不気味さが漂う。


・「ヘンショーの吸血鬼」……ヘンリー・カットナー
 いかにも殺人鬼が住んでいそうな宿屋に入った夫婦。
 そこの主人一家も不気味で、近隣にはヘンショーの吸血鬼という伝説があり……
 都市伝説を材にした軽妙なホラー。


・「死の半途に」……ベン・ヘクト
 古い屋敷に暮らす物書き。
 ある晩、庭に不気味な老婆が立っていることに気づく。
 彼女は変人として近所で有名だった。
 その後、毎晩のように訪れ……


・「くりのべられた審判」……ウィル・F・ジェンキンズ
 珍しい蝶を探してアマゾンにやってきたハンター。
 一人の現地人に、砂金と引換に家畜を買ってきてくれと頼まれる。
 しつこいため、諦めさせようと何百種類というの繭を持ってこいというと……
 ホラーというよりSF.
 ちなみに、マレイ・ラインスターの別名義。