CABOT WRIGHT BEGINS

キャボット・ライトびぎんず (1971年) (今日の海外小説)

キャボット・ライトびぎんず (1971年) (今日の海外小説)

『キャボット・ライトびぎんず』ジェームズ・パーディ〈河出書房新社 今日の海外小説〉

300件以上の強姦事件を犯したキャボット・ライト。彼を題材にした小説を書くため、ビッグル夫人は出所したキャボットを見つけてインタビューをする。見た様子では、そのような事件を起こすようには見えない。しかも、彼は全く記憶がないというのだ。彼について書かれた記事を聞かされるとその時の記憶は戻るというのだが……。はたして、彼が事件を起こした理由とは?

予想していたのとはかなり違う物語でした。
多数の登場人物が、直接・間接問わず、キャボットと関わったことによって、真の姿・本音をさらけ出していく。そして、当のキャボット自身は、真の姿がわからない。事件の記憶がない彼が、それを知りたいと願う理由がなかなか気持ち悪くてよかったなぁ。ある種のメタフィクションと捕らえていいのかな? キャボットに限らず、登場人物は書かれていること見て、アイデンティティを再確認しているように見える。
ただ、ちょっと古くさい感じはするなぁ。
他に何を書いているのかと調べたら、『夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇 (朝日文庫)』所収の「いつかそのうち」があった。これも面白かったな。