いずれは死ぬ身

いずれは死ぬ身

いずれは死ぬ身

『いずれは死ぬ身』柴田元幸・編〈河出書房新社
夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇』のつづき。

収録作品

  • 「ペーパー・ランタン」……スチュアート・ダイペック
  • 「ジャンキーのクリスマス」……ウィリアム・バロウズ
  • 「青いケシ」……ジェーン・ガーダム
  • 「冬のはじまる日」……ブリース・D'J・パンケーク
  • 「スリ」……トム・ジョーンズ
  • 「イモ掘りの日々」……ケン・スミス
  • 「盗んだ子供」……クレア・ボイラン
  • 「みんなの友だちグレーゴル・ブラウン」……シコーリャック
  • 「いずれは死ぬ身」……トバイアス・ウルフ
  • 「遠い過去」……ウィリアム・トレヴァー
  • 「強盗に遭った」……エレン・カリー
  • 「ブラックアウツ」……ポール・オースター
  • 「同郷人会」……メルヴィン・ジュールズ・ビュキート
  • 「Cheap Novelties」……ベン・カッチャー
  • 「自転車スワッピング」……アルフ・マクロフラン
  • 「準備、ほぼ完了」……リック・バス
  • 「フリン家の未来」……アンドルー・ショーン・グリア

お気に入りは、
・「ジャンキーのクリスマス」……ウィリアム・バロウズ
 苦労して、やっと薬を手に入れたいジャンキー。
 いざ打とうとすると、隣の部屋から苦しそうなうめき声が聞こえてきて……
 ホントに普通にいい話。
 ただ、不良がちょっといいことをすると、凄い善人に見えるような効果が働いているのかも(笑)


・「青いケシ」……ジェーン・ガーダム
 認知症の母と公開されている公爵邸の庭を見に行く女性。
 見学の最中、母が倒れ……


・「イモ掘りの日々」……ケン・スミス
 イモ本位制社会の歴史(笑)


・「遠い過去」……ウィリアム・トレヴァー
 アイルランドの小さな町で暮らす親英派の老兄妹。
 変わり者だが、町の人々とも普通に暮らしている。
 しかし、ある日、南アイルランドで事件が起きてから……
 トレヴァーは正直得意ではないんだけど、ずっしりと一語が重い。
 一行目で、曇り空と石垣の田舎町が見えてくるなぁ。


・「強盗に遭った」……エレン・カリー
 宝石店と常連客。
 ある日、そこで強盗に遭遇。
 女性の変わり身と計算高さが何とも意地悪な作品。


・「Cheap Novelties」……ベン・カッチャー
 マンガ。
 結構いい感じだと思ったら、単行本出てるのね。


・「自転車スワッピング」……アルフ・マクロフラン
 少年時代、走行中に自転車を交換するという荒技をしていた男。
 あるとき、そのまま転んで一部記憶がない。
 一緒にやっていた友人が見ているはずなのだが……
 話自体はそれほどでもないんだけど、自転車シーンがかなりドキドキ。


・「フリン家の未来」……アンドルー・ショーン・グリア
 イタリアン・レストランにやってきたフリン家の面々。
 彼らの様子が、未来と共に同時に語られる。