Space-time for Springers and other stories

跳躍者の時空 (奇想コレクション)

跳躍者の時空 (奇想コレクション)

『跳躍者の時空』フリッツ・ライバー河出書房新社 奇想コレクション
ガミッチ5本を含めた日本オリジナル短篇集。初訳は3作。
表紙はキュートすぎるでしょ。


 収録作品
・「跳躍者の時空」Space-Time for Springers
 IQ160を超える猫のガミッチ。
 彼は、コーヒーなるものを飲む儀式を終えて、人間になる日を待っているが……
・「猫の創造性」Kreativity for Kats
 ガミッチが飲み水の皿を引っ繰り返している。 
 その理由は?
・「猫たちの揺りかご」Cat's Cradle
 真夜中、町中の猫が公園へ。
 そこに猫型宇宙人が……
・「キャット・ホテル」The Cat Hotel
 美人の猫専門の獣医。
 しかし、何か怪しい……
・「三倍ぶち猫」Thrice the Brinded Cat
 今までのキャラクターによる、あったかもしれないもう一つの人生を夢幻的に描く。
・「『ハムレット』の四人の亡霊」Four Ghosts in Hamlet
 とあるハムレット劇団。
 幽霊役の役者の姿が見えない。
 また酔いつぶれてるのかと探していると、素晴らしい演技でいつの間にか舞台に……
・「骨のダイスを転がそう」 Gonna Roll the Bones 
 さいころ賭博が得意な男。
 初めての店に行くと、そこには明らかな大物が。
 彼との勝負を望む。
・「冬の蝿」The Winter Flies
 インモラルな存在を想像している男。
 今にいる妻や、息子も各々想像の世界に……
・「王侯の死」The Death of Princes
 若い頃からのグループの中心人物だった男。
 彼はハレー彗星と自分たちの出世に関するある考えを持っていた。
・「春の祝祭」The Winter Files
 様々な学者を集めたビル。
 雷の夜、若き数学者の前に突然美しい少女が現れる。
 兄を捜しているというのだが……


まず語るべきは、やはり、今までまとめて読むことが出来なかったガミッチでしょうなぁ。
中では「跳躍者の時空」と「猫の創造性」が好き。本当に超天才猫なのか、それとも飼い主の贔屓目(妄想)に過ぎないのか、どっちとも取れると思うんだよね。
一方、パラノーマル要素のある3作は、「実は人間の知らない所で、猫の活躍によって世界は救われている」……なーんてね、という猫エッセイマンガの番外編みたい(笑)
他に気に入ったのは、
普通小説のようでありながら、ジャンル単語が当たり前のように使われ、ほら話的な余韻を残す「骨のダイスを転がそう」
頭の回転は速いのに誘いになかなか気づかず、プライドだけは高い童貞オタク(笑)の心理を丹念に描いた「春の祝祭」
あたりかな。


奇想コレクションも、もう7年目か……
『夜更けのエントロピー*1なんて、こないだ読んだような……


次は、予想通り『たんぽぽ娘』の前に新たな刺客!
テリー・ビッスン『マックたち』