GHOST BREAKER

ゴーストなんかこわくない―マックス・カーニイの事件簿 (扶桑社ミステリー)

ゴーストなんかこわくない―マックス・カーニイの事件簿 (扶桑社ミステリー)

『ゴーストなんかこわくない』ロン・グーラート〈扶桑社ミステリー〉読了
アートディレクター兼オカルト探偵のマックス・カーニイの連作短篇集。
昔のSFマガジンやアンソロジーでよく名前を見たグーラート。
このマックス・カーニイのシリーズも、何度か掲載されている。
でも、日本では、これが初めての文庫(実は違うことをあとがきで知ることに)
まさか出るとは思ってなかったんで、新刊で買っちゃいました。


収録作品
・「待機ねがいます」Please Stand By
 友人が、祝祭日ごとにMサイズの象に変身してしまうと言う。
 これでは、今の恋人と結婚もできない。
 どうやら、以前出席したパーティで、魔術師に何かされたらしいのだが……
・「アーリー叔父さん」Uncle Arley
 毎週火曜日にテレビの中に幽霊が現れる。
 それは、以前付き合っていた恋人の亡くなった叔父さんらしい。
 その恋人と結婚しろと、幽霊はさかんに薦める。
 幽霊を追い出す方法は?
・「撮影所は大騒ぎ」Help Stamp Out Chesney
 広告代理店の仕事で、ドラマのスタジオに行ったカーニイ。
 そこでは、怪奇現象が起こり、度々撮影が止まっていた。
 出演している女優に話を聞くと、脚本家に原因があるようで……
・「人魚と浮気」McNamara's Fish
 友人から、夫が人魚と浮気しているらしいと相談されたカーニイ。
 一方、夫は妻が隣人と浮気していると疑っている。
 しかし、夫が会っているのは……
・「カーニイ最後の事件」Kearny's Last Case
 結婚を機にオカルト探偵は辞めると決めたカーニイ。
 しかし、友人の恋人が、オカルト商社に知らずに就職してしまい、
 魔術によって辞められなくなってしまい、助けて欲しいと頼まれる。
 断るカーニイだか、婚約者のジリアンは実は……
・「新築住宅の怪異」Breakaway House
 カーニイたちの友人が新築の家を買ったのだが、怪奇現象が続発する。
 カーニイは地の精が関係していると考えるが、
 家主は認めようとしない。
 彼からの正式な頼みがなければ探偵は受けないつもりだったが、
 ジリアンが勝手に地の精の元へ行ってしまう!
・「あの世から来たガードマン」The Ghost Patrol
 無料診療所を開く友人。
 しかし、極右的愛国者が毎日のように反対活動をしている。
 それを守るようにして、医師の元に現れた筋肉系亡霊団。
 医師は両者から悩まされることに……
・「幻のダンス・パビリオン」Strawhouse Pavilion
 ジリアンの友人夫妻の元を訪れたカーニイ。
 そこには、友人の父の幽霊が現れるという。
 しかも、音楽家だったため、巨大なパビリオンごと現れ、演奏を行っているのだ。
 その原因は?
・「姿なき妨害者」Fill in the Blank
 カーニイの友人の舞台で、怪奇現象による嫌がらせが起きていた。
 一方、ジリアンの友人が住み込みの家庭教師をしている家でも、幽霊らしき存在が。
 無関係だと思われていた二つの事件は……


かなり軽めで、さくさくっと読了。
オカルト探偵と言っても、伝奇小説のような派手なアクションがあるわけでもなく、
幽霊に対してみんな困る程度、呪文や魔法の粉も詳細全く出てこない。
カーニイも幽霊も魔術師も、契約書なんかでビジネスライクに解決したり、
普通の人もオカルトに対して、当たり前のように対応していて、のんびりしている。
そこがオールドファッション的にいい味になってる。
満腹にはならないけど、それなりに楽しめるかな。


個人的お気に入りは、
「撮影所は大騒ぎ」「カーニイ最後の事件」「新築住宅の怪異」あたり。
みんな同じような軽さなんで、ある意味甲乙つけ難い(笑)


あとがきで知ったんだけど、
ウィリアム・シャトナーの『電脳麻薬ハンター (ハヤカワ文庫SF)』のゴーストをやっていたそうで。

他の方の感想
enziさん