NIGHT SHIFT

『トウモロコシ畑の子供たち』スティーヴン・キング〈扶桑社ミステリー キ1-5〉
キングはほとんど読んだことがない(短篇を1、2本読んだかどうか)。お叱りを覚悟で書くと、個人的には、映画の原作の人、以上でも以下でもないんだよね。映画はかなり見てるから(笑)、好きも嫌いもなく、別に読む予定もない作家。……だったんだけど、先日、マイミクから、飲みながら「初期短篇は読め!」と猛プッシュを受けたので、仕方なしに着手。


 収録作品
・「超高層ビルの恐怖」 The Ledge
 街の大物の妻に手を出したテニスコーチ。
 高層ビルの窓から、外壁の縁に立ち、一周して戻ってこれたら、妻も金もやると言われるが……
 最初がこれだったんで、かなりキングの印象が変わりました。


・「芝刈り機の男」 The Lawnmower Man
 芝刈りサービスを頼んだ男。
 やってきたのは、太って汚らしい男で……
 これって『バーチャルウォーズ』の原作じゃなかったっけ? どのへんが?


・「禁煙挫折者救済有限会社」 Quitters,Inc
 友人に勧められて入った禁煙をするための会社。
 そこは、煙草を吸うと家族に危害を与えるというものだった!
 これはラストで大笑い。好み。


・「キャンパスの悪夢」 I Know What You Need
 エリザベスの前に現れた、彼女が求めるどんなこともわかってくれるさえない青年。
 どんどん彼に惹かれていくが……


・「バネ足ジャック」 Strawberry Spring
 霧深い、ストロベリースプリングの夜。
 大学の女子学生が連続して殺されていく。
 犯人は見つからず、いつしか忘れられていく…… 


・「トウモロコシ畑の子供たち」 Children of the Corn
 一面トウモロコシ畑の中を通る道路で、少年の死体を見つけた夫婦。
 近くの町の保安官に渡そうとするが、そこには十年以上前から人がいないようで……
 これは、途中までは、チープだからこそ、逆に生理的嫌悪感を催す80年代ホラーでよかったんだけど、ラストがなぁ。 


・「死のスワンダイヴ」 The Last Rung on the Ladder
 自殺した妹からの手紙。
 そこに書かれていたのは?


・「花を愛した男」 The Man Who Loved Flowers
 誰もが微笑まずにはいられないような、見るからに恋している男。
 彼は花を持って彼女の元へ行く。


・「<ジェルサレムズ・ロット>の怪」 One for the Road
 猛吹雪の中、半ば凍傷になりながらもバーにやってきた男。
 車が動かなくなり、妻子を中に残して助けを求めにきたという。
 しかし、彼らが向かおうとしていた村の名を聞いて……


・「312号室の女」 The Woman in the Room
 末期癌の母親を見舞う男。
 彼がしようとしていることは?


普通に異色作家短篇集として面白かったですわ(笑)
個人的お気に入りは、「超高層ビルの恐怖」「禁煙挫折者救済有限会社」「バネ足ジャック」「トウモロコシ畑の子供たち」あたり。
どうやら、オチが幽霊系の超常現象っていうのが好みでないらしい。怪獣はオールグリーン(笑)。オカルトは好きだと思ってんだけどなぁ。『ハートシェイプト・ボックス』も同じ理由なんだけど。
自分の中で、ホラー、ミステリ、SFの線が引けそう。もうちょい整理してから、今度の古本ツアーのときにディスカッションしたいと思います(笑)