1974年7月号
〈幻想と怪奇〉オカルト探偵特集
初の副題。
オカルト探偵物の有名ドコロが5本入っていて、なかなか力が入ってる。
あっ、ジョン・サイレンスが入ってないのか。
・『幽霊馬』……ウィリアム・ホープ・ホジスン
長子が女子だった場合、結婚前に死ぬ呪いがあるという家。
彼女は婚約したのだが、馬のいななきが聞こえるように。
真相が、意外に幽霊じゃないことも多いのが特徴のカーナッキ。この作品は……
『幽霊狩人カーナッキの事件簿』*1など所収
・『死者の村』……エドワード・D・ホック
住人全員が崖から飛び降りて死んだ村。
それを取材に来た記者は、途中、サイモン・アークと名乗る男と出会う。
彼は古代の邪悪な信仰が原因というが……
『サイモン・アークの事件簿I』*2など所収
・『月の光』……シーベリイ・クイン
保養地で、絶世の美女と謳われる女優を見かけたグランダンたち。
その一週間後。知り合いの娘が衰弱していると聞いた彼は、その女優が原因だと気付くが……
グランダンものの中では、古臭さを感じず、結構面白い。
『グランダンの怪奇事件簿』*3に入れればよかったのに。
・『アーリー叔父さん』……ロン・グーラート
毎週火曜日にテレビの中に幽霊が現れる。
それは、以前付き合っていた恋人の亡くなった叔父さんらしい。
その恋人と結婚しろと、幽霊はさかんに薦める。
幽霊を追い出す方法は?
他のオカルト探偵と違って、マックス・カーニイものは軽妙なところがいい。
『ゴーストなんかこわくない』*4所収。
・『その眼は見た』……ランドル・ギャレット
何者かに射殺された伯爵。
非常に女好きだったため、その恨みか?
魔法で、彼が最期に見た映像を映しだすと……
ダーシー卿シリーズ中でも、印象深い作品。
弾丸を発射された銃に戻す魔法や、題名にもなっている最期に網膜に写ったものをスライドにしたり、と魔法が活躍する上、ダーシー卿の論理的な推理も楽しめる。
オチも非常にいいし。
『魔術師を探せ!』*5所収
毎年一度はつぶやかないと気がすまないんだけど、なんでダーシー卿をまとめて出さないの?
全3巻で「戦場の呪文」が初訳、とすでに妄想の中では手にしているというのに!
それとも、欲しがってるの、俺くらいとか?