THE WRECK OF THE TITAN or FUTILITY



『タイタンの遭難または愚行』モーガン・ロバートソン〈同人誌〉


百年ほど前に海洋ものを翻訳している八坂八郎氏*1による同人誌。


これ、読みたかったんだよね〜。


幼年期に、世界の怪奇事件・不思議系の本を舐めるように読んだ人間ならば、一度は目にしたことがあるはずの、「タイタニック号沈没を予言した小説!」という話。
名前(タイタン号)や沈没状況だけでなく、船の大きさや性能もほぼ同じ。小説発表が1998年、タイタニック号は1912年。14年も前に予言されていた!?


物語は、アメリカからイギリスに向かう巨大客船タイタン号に水夫として乗り込んでいる飲んだくれのローランドが主人公。
彼がかつて愛した女性が、現在の夫と娘とともに乗り込んでいるのを知ってしまう。
航海の途中、タイタン号は小船と衝突するがそれを無視。船長たちはそれをもみ消そうとするが、ローランドはそれを断る。
彼を麻薬漬けにして、その証言の信憑性を落とそうと企む中、タイタン号は氷山と激突。
ローランドと、元恋人の娘は氷山に取り残されてしまう……


事故をそこまで予言しているのだから、物語の流れも『タイタニック』に近いものになるけど、こちらはバキ並にシロクマと戦ったりしますw
後半は、ロイズの保険請負人の裁判になったり、意外にバラエティ豊かな展開。


さて、興味の根幹である予言ですが……
事故後、小説はあまりにもそっくりで議論を呼び、作者は「霊的な示唆を受けて書いた」と語っている。


もともと、1998年に『FUTILITY』という題で発表された本作は、事故後『THE WRECK OF THE TITAN or FUTILITY』と改題し、内容も大幅修正されて発売された。
つまり、パクリですわw
似てるのも当然で、シンクロニシティとか予言とか、パラノーマルな事実は存在せず、残念な気分にw


ちなみに、モーガン・ロバートソンは、日米海戦のシミュレーション小説など海洋小説を書いていたそうだ。