CIEN ANOS DE SOLEDAD

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

長らくの宿題にやっと着手。

愛の欠如のなかに生きる孤独を人間の生と死、相つぐ奇想天外な事件、奇態な人々の神話的物語世界。マコンド村の創設から百年、はじめて愛によって生を授かった者が出現したとき、メルキアデスの羊皮紙の謎が解読され、ブエンディアー族の波乱に満ちた歴史が終る。

南米マジック・リアリズムの代名詞! ガイブン読みとして避けては通れない名作! ……とか気負わずに、純粋に面白い。


基本的なあらすじだけ書くなら、マコンド村とその創設者一族の盛衰の百年。
しかし、その百年の間に、珍妙な出来事がこれでもかと繰り出される。一番印象的なのは、テレパシーが得意な医師たち。「たち」って複数いるわけ!?(笑)
バーナード嬢曰く。*1でもボヤかれているように、同名異人が世代が変わる度に繰り返し現れ、さらに突然未来の出来事が描写されるため、何度も何度も巻頭の家系図を見返す始末。
その時空間の歪みは文章だけでなく、内容にも影響を及ぼし、無限に増殖する家畜や長命なウルスラ、ブエンディアの幽霊、誰からも忘れられた廃屋など、マコンドの中では時間は一定には流れていない。


マコンドは、百年前にビッグバンが起き、百年後にビッグクランチを迎える世界であり、メルキアデスの羊皮紙はそこに織り込まれたアカシックレコードである。
マジック・リアリズムの特徴に「語られている」というのがあるけど、この作品ではそのような表現は出てこない。しかし、実は全て百年前に全て語られており、我らはそれを観測しているに過ぎない。
羊皮紙に記された膨大な情報が世界を支えており、始まったばかりの世界は逸話も大仰なものが多いけど、収縮に向かう時代では語るべきことも少なくなり、長大な列車やバナナ園も嘘だと決めつけられた小ぢんまりとした世界に成り果てている。そして、物語が語り尽くされた時が、情報という楔が全て抜け落ち、世界も終局を迎える時。


これは、数年後に再読してもいいなぁ。