今年の読了本2013
今年の読了本を回顧。
SF
『言語都市』*1と『夢幻諸島から』*2が双璧。
『ブラックアウト』*3『オール・クリア(1)(2)』*4も長いけど、ウィリスを存分に堪能。
新銀背は成功じゃないかなぁ。第一期が終わり『白熱光』*5から第二期開始。
『ハローサマー、グッドバイ』*6の続編『パラークシの記憶』*7がやっと刊行! 個人的には前作よりも好き。
やっと言えば『任務外作戦』*8で、マイルズの結婚がようやく読めたのが嬉しい! 長かった……
前情報があまりなかったんだけど、思いの外面白かったのが『巨獣めざめる』*9これは続きの邦訳希望!
ミエヴィルの息抜き作品『クラーケン』*10も楽しかった。ダイオウイカフェチにオススメ。
まさか、あるとは思っていなかった〈老人と宇宙〉シリーズ新作『戦いの虚空』*11はやはり楽しい一作。
〈ブックマン秘史〉三部作*12も開始。これも非常に楽しいシリーズ。
ハマコンの思い出が蘇る『ブラインドサイト』*13も刊行。
『青い脂』*14に続いて『親衛隊士の日』*15も刊行。ソローキンの中では読みやすいので、入門書に最適w
幻の作品『アサイラム・ピース』*16も今年。
『蛇の卵』*17『第四の館』*18とにわかにラファティ祭。
時間SFアンソロジーの『時を生きる種族』*19はアタリ揃い。
とうとう『たんぽぽ娘』*20にて奇想コレクションは完結! 「たんぽぽ娘」が収録されたアンソロジーは大暴落!w
ファンタジー
『孤児の物語』*21の一択かなぁ。内容的にも物理的にも大作だけどオススメ。
とうとう〈ヴァルデマール年代記/魔法戦争〉三部作*22が開始!
〈ロンドン警視庁特殊犯罪課〉シリーズ*23も開始。
〈アレクシア〉の前日譚〈ソフロニア〉シリーズ*24も開始。
〈死者の短剣〉四部作*25は完結。
こう見ると、ファンタジーはシリーズばっかだなぁ……
ミステリ
『あの夏、エデン・ロードで』*26は超イヤミス。近年稀に見るワンダーウーマンの使い方は必見w
『二流小説家』*27のデイヴィッド・ゴードンの二作目『ミステリガール』*28も今年。
『ジャック・リッチーのあの手この手』*29全篇初訳。今頃初訳でも粒ぞろいw
『地上最後の刑事』*30は設定が人類滅亡直前と、SF者にもオススメ。
ホラー
『怪樹の腕』*31は戦前の翻案のまま掲載というユニークなアンソロジー。
『短篇小説日和』*32と『怪奇小説日和』*33は、入手しにくい怪奇アンソロジーの再編集なので大変ありがたい作品。
クトゥルフアンソロジーの第二弾『古きものたちの墓』*34。次もお願いします!
自費出版的な形で期待してなかったんだけど、『ヴィクトリア朝幽霊物語』*35は本邦初訳も多いし、しかも質も高い掘り出し物。惜しむらくは、欲する読者に行き渡ってないこと。
『ブルー・ワールド』*36をようやく着手。やっぱマキャモンいいなぁ。
映画ホラーアンソロジー『シルヴァー・スクリーム』*37も待ち疲れたよ……。
異色作家短篇集的なものが多く出た今年。
扶桑社からは〈予期せぬ結末〉シリーズとして、『ミッドナイトブルー』*38『トロイメライ』*39と2冊刊行。ただ、面白いんだけど、作家的にはなんの新味もなく残念。
別に叢書ではないんだけど、河出版異色作家短篇集とも言える海外文学短篇集が大当たり。『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』*40、『不浄の血』*41、『神童のための童話集』*42、『海底バール』*43、『私のいた場所』*44、『バン、バン! はい死んだ』*45とコンスタントに刊行、来年も期待しちゃう。
岩波から『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』*46が出たので、ついでに『待っていたのは』*47も着手。嫌な話が多くオススメ。
イヤといえば、アンソロジーの『厭な物語』*48は、入門書としてもマスト。
ハイスミス『風に吹かれて』*49も良かったなぁ。イヤでw
パラノーマル・ロマンス
〈サイ=チェンジリング〉シリーズは『燃える刻印を押されて』*50と『遠き記憶が輝くとき』*51の二冊。
『その娘、パラノーマルにつき』*52に着手。アメコミチックなので続きも読むかな。
その他海外文学
『HHhH』*53は、今年の一冊なら、この一択レベルの傑作。
同じく東京創元社海外文学セレクションの『シスターズ・ブラザーズ』*54『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』*55もオススメ。
ずっと抄訳でお預け食らっていた『もうひとつの街』*56も今年。
〈エクス・リブリス〉の『神は死んだ』*57はSFオムニバスと言っても過言ではない。
ディックの処女作『市に虎声あらん』*58も今年。
『スワンプランディア!』*59もなかなか良かった。カレン・ラッセルの翻訳は進んでほしいなぁ。
映画に合わせて『クラウド・アトラス』*60も出た。個人的には映画のほうが好き。
まさか『第三の警官』*61が復刊されるとは!
『フリアとシナリオライター』*62と『百年の孤独』*63にようやく着手。純粋に面白いですよ。
ちょっとレア気味の『飛行人間またはフランスのダイダロスによる南半球の発見』*64と『小鳥の園芸師』*65は両方共アタリ。特に後者は異色・奇想系好きにオススメ。
ノンフィクション
『伝説の「どりこの」』*66、『輸血医ドニの人体実験』*67、『本を愛しすぎた男』*68、『ヴェルヌの『八十日間世界一周』に挑む』*69しか読んでないんだけど、どれもアタリ。
写真集だけど『死の帝国』*70は完全に俺得本。骸骨寺好きは必携!
毎年言ってるけど、来年こそは、半分は古本にしたい。
ではでは、良いお年を〜
*4:オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
*8:任務外作戦 上 (創元SF文庫)任務外作戦 下 (創元SF文庫)
*9:巨獣めざめる (上) (ハヤカワ文庫SF)巨獣めざめる (下) (ハヤカワ文庫SF)
*10:クラーケン(上) (ハヤカワ文庫SF)クラーケン(下) (ハヤカワ文庫SF)
*12:革命の倫敦(ロンドン) (ブックマン秘史1)影のミレディ (ブックマン秘史2)
*13:ブラインドサイト〈上〉 (創元SF文庫)ブラインドサイト〈下〉 (創元SF文庫)
*17:蛇の卵 (Seishinsha SF Series)
*19:時を生きる種族 (ファンタスティック時間SF傑作選) (創元SF文庫)
*21:孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)孤児の物語2 (硬貨と香料の都にて) (海外文学セレクション)
*22:黒き鷲獅子 上 (ヴァルデマール年代記/魔法戦争1) (創元推理文庫)黒き鷲獅子 下 (ヴァルデマール年代記/魔法戦争1) (創元推理文庫)
*23:女王陛下の魔術師 (ハヤカワ文庫FT ロンドン警視庁特殊犯罪課 1)顔のない魔術師 (ハヤカワ文庫FT)地下迷宮の魔術師 (ハヤカワ文庫FT)
*24:ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ (英国空中学園譚)ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る (英国空中学園譚)
*25:死者の短剣 地平線 上 (創元推理文庫)死者の短剣 地平線 下 (創元推理文庫)
*29:ジャック・リッチーのあの手この手 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
*31:怪樹の腕 (〈ウィアード・テールズ〉戦前邦訳傑作選)
*33:怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)
*34:古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待 (扶桑社ミステリー)
*37:シルヴァー・スクリーム 上 (創元推理文庫)シルヴァー・スクリーム 下 (創元推理文庫)
*38:予期せぬ結末1 ミッドナイトブルー (扶桑社ミステリー)
*40:とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 ---ジョイス・キャロル・オーツ傑作選
*41:不浄の血 ---アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選
*45:バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集
*52:))題名は良かったんだけどなぁ。 すでに4巻まで出ている〈ダーク&スティール〉シリーズの1巻『虎の瞳がきらめく夜』((虎の瞳がきらめく夜 (ヴィレッジブックス)
*53:HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)
*61:第三の警官 (白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚)
*63:百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
*64:飛行人間またはフランスのダイダロスによる南半球の発見―きわめて哲学的な物語 (1985年)
*66:伝説の「どりこの」 一本の飲み物が日本人を熱狂させた
*67:輸血医ドニの人体実験 ---科学革命期の研究競争とある殺人事件の謎