UNDERGROUND

『アンダーグラウンド』鑑賞


20年以上前、単館ばかり行ってたスカしていた頃、宣伝は何度か観たんだけど、その時は別に興味わかず、現在に至る。長いし(笑)
でも、デジタルリマスター版が再映されることになり、しかも舞台になった国(の片割れ)に旅行したので、タイミングもいいし鑑賞。


正直、退屈な芸術作品のたぐいかと思ってたんだけど、しっかりエンタメとして面白くない?


政治的な解釈は横に置いといても、ユーゴスラヴィア史をマジックリアリズム的に語りなおし、かつ許しさえも与えてしまうた傑作。
狂騒的なブラスバンドがホントに強烈で、音楽とあいまってマジックリアリズムの映像として素晴らしい。


また、マルコによる偽の戦時放送、彼らをモデルにしたドキュメンタリー、地下世界での結婚式、実際の記録映像に主人公たちを合成したフェイク、など、劇中劇が多用され、嘘と現実は渦中の人間でさえも判断できず、その全てを観察できる立場になって初めて見分けられるけど、その頃には、両者をもとに歴史が形作られてしまう。


外界から時間も空間も超越した地下世界というのは『アンランダン』*1や『ネバーウェア』*2に通じるファンタジーであり、マンホールを通り抜ければ、現世から逃げてこられる。彼らの世界が崩壊しても、そこには国境を無視した密入国ルートが縦横無尽に走っていて、別の世界への通路として機能している。
では、地下世界の住人たちはどこに逃げるのか?
更に深く潜り、ラスト、海のないセルビアで、一つの小さな国となって川を流れていく彼らの姿は印象的。


『モンスター』*3、『時間はだれも待ってくれない』*4など、ユーゴ内戦をテーマにしたジャンル作品が訳されるようになった。正直、入り組んだ歴史、内戦からまだ20年しか経っていない生活、心情は理解しづらいけど、そこを学ぶことは、これから、ジャンル読みとしても、これからの世界を生きる上でも、有意義だと思うんだよね。