2001年1月号



特集は〈異色作家ふたたび〉
ちょっと前まで、異色・SF系の特集が、年に2回くらいあったんだよね。


・「タイム・トラヴェル」……アラスター・グレイ
タイムトラベルの老学者。
ある日、足の指の間にガムが挟まっていることに気づく。
自分は外に出ない。では、これはどこから来たのか?
さっぱり、わからない。
ボケちゃってることを、タイムトラベルと解釈できなくもないか……
『ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど』*1所収



・「ひねくれ根性」……ジェラルド・カーシュ
厳しい自然のため、脱獄不可能な密林の監獄。
そこに、もう20年もいる男。
彼は、以前原住民を助けていて、通行手形のようなものを持っていた。
町に出た時のために、金を貯めていたが、囚人仲間が実は、自分が殺したと思っていた男と知って……
何度か読んでるけど、奇妙な人生、奇妙な脱獄方法、小話的オチ、とカーシュらしい短篇。
『壜の中の手記』*2などに所収


・「同じ犬」……ロバート・エイクマン
幼い頃に、ガールフレンドを犬に噛み殺された少年。
成長し、大人になってから、あの犬を見た家に行ってみると……
どうとでも解釈でき、よくわかないんだけど、ラストが印象深い。


・「ワム・バップ!」……シオドア・スタージョン
ジャズバンドを率いる男。
彼はドラムで、そこそこ売れてきて高飛車になっていた時、
イマイチ盛り上がらないステージで、貸し船屋の少年に叩かせると、彼の才能は本物だった!
メンバーは少年の肩を持つようになり、業界の大物が来る日にこっそり彼に叩かせようとするのだが……
これも何度か読んでるけど、けっこう好き。
『不思議のひと触れ』*3所収