I'm Still Here

『容疑者ホアキン・フェニックス』鑑賞


2008年末。故・リヴァー・フェニックス実弟であり、『グラディエーター』『ウォーク・ザ・ライン』で2度もオスカー候補に選ばれた世界的スター、ホアキン・フェニックスが、突然の【俳優引退とラッパー転向】を宣言、突如として表舞台から姿を消した。そのニュースは瞬く間に世界中を駆け巡り、ファンたちは悲しみの涙にくれた。それから数カ月後、既に完成していた主演作PRのため、一度だけTVの生放送に出演したホアキン。だが見る影もなく激太りし、長い髭は生やし放題、明らかに挙動不審で、会話すらままならない。「彼は精神的に疲弊し、薬物に溺れてしまったのだ…」人々はそう囁き、誰もが彼を心から心配していた。一体ホアキンの身に何が起きたのだろうか…。

……というドッキリ。
モキュメンタリーといえば、そうなのかもしれないけど、個人的には他のそれとは感触が違う印象。やはり、体と資金を費やしたドッキリという方がしっくりする。


ただ、何も知らないで見に行けば(いないと思うけど)スターの転落を描いたドキュメンタリーに見えるし、中途半端に情報を仕入れていると、ドッキリにしては肩すかしなラストが待っている。
この作品を楽しむにはアメリカでの周辺情報を鑑賞後に仕入れた方がいい。


日本ではこの二時間の情報しかないから、やはり作りっぽく見えちゃうんだけど、ずっとTVのワイドショーを騒がせてきた末の総集編として見たなら、「昔はいい俳優だったのに、こんなになっちゃって……」という感想を持つかも。
また、どこまでが脚本通り(始めの頃からヤラセ疑惑はつぶやかれる)で、登場人物の誰が真相を知っていたのか、というメタミステリと見えなくもない(笑)
まぁ、激太りとヒゲモジャはかなり強烈なのは確か。