The Master



『ザ・マスター』鑑賞

ポール・トーマス・アンダーソンが「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)以来5年ぶりに手がけた監督作。第2次世界大戦直後のアメリカを舞台に、爆発的に信者を増やしていった新興宗教の教祖とその弟子となった男の関係を描き出す。第2次世界大戦が終結し、赴任先からアメリカへ戻ってきた帰還兵のフレディ・クエルは、戦地ではまったアルコール依存症から抜け出せず、社会生活に適応できずにいた。そんなある日、フレディは「ザ・コーズ」という宗教団体の指導者で、信者から「マスター」と呼ばれているランカスター・ドッドに出会う。ドッドは独自のメソッドで人々を悩みから解放し、フレディもドッドのカウンセリングで次第に心の平静を取り戻していく。ドッドは行き場のないフレディをかたわらに置き、2人の絆は深まっていくが……。主演はホアキン・フェニックスフィリップ・シーモア・ホフマン。2012年・第69回ベネチア国際映画祭で銀獅子(監督)賞、男優賞を受賞。

ホアキン・フェニックス凄いな。
『容疑者ホアキン・フェニックス*1の面影はもちろんないんだけど、その前の容姿からも別人のように変わっている。
わかりやすいキチガイ的行動はないんだけど、学がなく剣呑な雰囲気が見ただけでわかるんだよね。しかも、その姿のまま、作中で時間が経つ毎に、表情が変化していくし。
一方のフィリップ・シーモア・ホフマンも素晴らしく、非常に魅力的で、受け止めてやる感漂うカルトリーダーなんだけど、薄っぺらさが見え隠れしている。


そんな二人の、激しい恋愛ものかなぁ。


人を好きになる過程を戯画化したかのようなメソッドも面白いんだけど、全てはラストに集約されている。
結論はオープンエンドなんだけど、別れなかったのかなぁ。
フレディは教団のことは全く信じてないのに、自分の居場所は激しく欲しているんだよね。きっぱり捨てられないのは、「来世で」というセリフによく現れている。
それが、最後であんなラブソング歌われちゃあねぇ(笑)


サイエントロジーをモデルにしているんだけど、悪の精神科医は出て来ませんでした。