Milo and I

フランクを始末するには (創元推理文庫)

フランクを始末するには (創元推理文庫)

フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。彼が死ねば、トリビュート番組や伝記映画などで業界は大もうけできる。殺し屋の“わたし”はフランク殺しを依頼され……。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描き英国推理作家協会短篇賞を受賞した表題作のほか、刑事の相棒として赤ん坊が採用され、殺人事件の捜査を行う「マイロとおれ」、日々の買いものリストだけで構成された異色作「買いもの」、ミステリ出版界の裏事情を語るゴーストライターものの一篇など多彩な12作を収録。奇想とユーモアにあふれた傑作短篇集をお楽しみください。


 収録作品
・「マイロとおれ」Milo and I
・「緑」Green
・「エディプス・コンプレックスの変種」The Oedipus Variation
・「豚」Pigs
・「買いもの」Shopping
・「エスター・ゴードン・プラムリンガム」Esther Gordon Framlingham
・「万事順調(いまのところは)」Things Are All Right, Now
・「フランクを始末するには」Taking Care of Frank
・「契約」The Deal
・「ビリーとカッターとキャデラック」Billy, Cutter and the Cadillac
・「プレストンの戦法」Preston’s Move
・「凶弾に倒れて」Gunned Down

変な話を期待していたものの、期待していたよりも変じゃない。いや、変ではあるんだけど。
舞台設定が奇妙なので、キャラクターの行動はその世界の中では普通。
しかし、そこに読者とのギャップをできる、という作品が多いかな。


お気に入りは、
・「マイロとおれ」
巡視な視点を持つように、とベテラン刑事に赤ん坊の相棒をつけるプロジェクト。
殺人現場にやってきたマイロとおれは……


・「緑」
あらゆる勧誘や検針の類を追い払っている青年。
ある日、緑の党の女性が寄付を募りにやってきて……
これはディストピアSFだよなぁ。
ラストがほのぼの(絵面だけは)


・「豚」
知り合いになった裕福な夫婦。
そこには家族の一員として扱われている豚がいた。
同時に、恵まれない子を引き取って一緒に暮らしているのだが……
変な話としては、これがベスト。
登場人物の常識の上滑り感もいい。


・「買いもの」
買い物メモだけで構成された短篇。
イデアは面白いんだけど、中で起きている事件が普通で、そこにも驚きが欲しかったなぁ。


・「プレストンの戦法」
素人プレイヤーが、ある日チェスの解法を見つけたと言い出した。
その言葉通り、次々と名人を破り、とうとう史上最高の世界チャンピオンと対局することに。
これもSFとして読んでしまった。
そこで起きる事件は、身につまされるなぁ。
解法を見つけた男の行動原理はわかるけど、語り手のラストは共感できないなぁ。