今年の読了本2011
今年の読了本を回顧。
今年もSFは、印象深い作品が多かった。
SFM購読者以外には初お目見えの、パオロ・バチカルピ『ねじまき少女』*1。イーガン、チャンに続いて、現在、要注目の作家。
同じく、目が話させないのがチャイナ・ミエヴィル、『都市と都市』*2はやはりアタリ。
またニュースが銀背復活! その第一弾が『リヴァイアサン―クジラと蒸気機関―』*3。SFかと言われると、ファンタジーレーベルの方がよかったような気もするけど、抜群に楽しいシリーズ。
今年はどうしても311以降を意識しない読書は難しいと思うんだけど、時期的にも『リトル・ブラザー』*4は色々考えてしまった。
伝説の書『ダールグレン』*5も今年。まぁ、出たことが素晴らしいということで(笑)
そんなに楽しみにしてたわけでもないんだけど、『奇蹟なす者たち』*6は純粋に楽しい一冊でした。
ロバート・チャールズ・ウィルスンの『クロノリス―時の碑―』*7もよかった。
『キリストのクローン―真実―』*8はぶっ飛ぶ面白さ(個人的に)。
去年末だけど『ロールシャッハの鮫』*9も変な話だったなぁ。
去年に比べて、アンソロジーは少なめ。その中で『時間はだれも待ってくれない』*10が印象的。
『彷徨える艦隊』*11は6巻で一区切り。
去年お叱りを受けたディックの短篇集を初読。『アジャストメント』*12は普通に面白かったですよ(笑)
古本だけど、『パターン・レコグニション』*13にようやく着手。今読んだ方が、飲み込みやすいんじゃないかなぁ。その事実がSF。
久々にサンリオ着手『猫城記』*14。つまんないなぁ(笑)
青背はイマイチなのもいっぱいあったけど。
ファンタジーは少なめ。
『剣姫―グレイスリング―』*15がよかったかなぁ。非常に骨太で、表紙でスルーしてる人はもったいない!
『ゾティーク幻妖怪異譚』に続いて『ヒュペルボレオス極北神怪譚』*16も楽しませてもらいました。
新シリーズで〈アレクシア女史〉*17が刊行。
ヴァルデマールは『魔法の誓約』*18のみ。
忘れた頃に『テメレア戦記IV 象牙の帝国』*19が発売。
古本では『ラウィーニア』*20が、やはり、ル=グィンの巧さを再確認。
ミステリはやはり読んでないんだけど、
『犯罪』*21はぶっちぎりで傑作だったなぁ。
『探偵術マニュアル』*22はミステリといっていいのかわからないけど、変な話で大変楽しめた。
相変わらずポケミスは元気。読んだのは『二流小説家』*23と『ねじれた文字、ねじれた路』*24の二冊だけなんだけど、両方ともオススメ。
シリーズ未読だったんだけど、『死刑囚』*25は強烈。3巻なんだけど独立して読める。
出ないと思ってた『ピザマンの事件簿2 犯人捜しはつらいよ』*26が嬉しい。
ホラーは、去年に続いてゾンビものが出たけど、小説ではなく、ドラマ原作コミック『ウォーキング・デッド』*27がゾンビジャンルの傑作。
『狼女物語 美しくも妖しい短編傑作選』*28はクラシックながら、思いの外楽しめた。
ほかに『殺人感染』*29『憎鬼』*30など、印象が似通った作品も今年。
『ヴァンパイアハンター・リンカーン』*31もあったっけ。
クーンツの新シリーズ〈フランケンシュタイン〉*32が刊行。やはり、クーンツはあまり好きじゃないなぁ。
マシスンは相変わらず訳されてます。『リアル・スティール』*33が2冊も出るなんて!
〈未来の文学〉以外の集めてる叢書は、
ストレンジ・フィクションは『ストレンジ・トイズ』*34、『ドクター・ラット』*35の二冊。刊行止まっちゃったなぁ。
EX LIBRISはコンスタントに刊行。『ヴァレンタインズ』*36と『ブエノスアイレス食堂』*37がお気入り。
パラノーマル・ロマンスは、ピンとくるのがなくて、今年は読んでないなぁ。
新シリーズ『魔女の目覚め』*38は面白かったんだけど、三部作で、続きはいつになるのかなぁ。
面白いと聞いたアニタ・ブレイク・シリーズに着手。1巻『十字の刻印を持つふたり』*39確かに面白い。
普通のロマンスの大御所に着手してみようと『隻眼の海賊に抱かれて』*40を読む。やはりストーリーテリング上手いですよ。
原点ということで、『ジェイン・エア』*41着手。「パンをくわえて慌てて飛び出したら、曲がり角でいけ好かない男子と衝突! 学校に着いてみたら、転校生はなんと嫌なアイツ……」の原形が発見できたのが収穫。
その他海外文学は、
個人的に『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』*42がぶっちぎり。『ウォッチメン』愛読者は是非!
ずっと待ってた『ミステリウム』*43もようやく刊行。期待通り。
『紙の民』*44、『オデュッセイアの失われた書』*45など、ジャンル分けが難しく、変な話好きにはオススメ。
古本で読んだのは、『黄泥街』*46、『巨匠とマルガリータ』*47、『逆光』*48、『ジーヴズの事件簿』*49、『パストラリア』*50どれも、読んでなくてスミマセン。『逆光』は初ピンチョン。非常に読み応えアリ。『ジーヴズの事件簿』は執事ブームの今だからこそ、その元祖を読むべき。『巨匠とマルガリータ』は言わずと知れた古典的名作だけど、今読んでもその混沌は楽しい。『黄泥街』は気分悪くなるけど(笑)
日本人作家はいつにも増して少なし。
その中で、『橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇』*51がもう楽しい! 来年はこの辺を攻めていきたいなぁ。
ノンフィクションはけっこう読んだんだよね。
『ナチを欺いた死体』*52が楽しさではダントツ。
以前から読みたかった『スエズ運河を消せ』*53がようやく邦訳。これもオススメ。
SF者には『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』*54を。
ケイト・サマースケイルの『最初の刑事』*55と『ネヴァーランドの女王』*56、両方ともジャンル小説のようで面白い。
アメコミとBDのラッシュはまだ続く!
まさか、海外コミックが10冊以上積ん読になる日が来ようとは……
ずっと待っていたスクイテンが、ついに『闇の国々』*57が出たのが嬉しい。
『皺』*58もオススメ。
コミックではないけれど、ショーン・タンの『遠い町から来た話』*59は、素晴らしい一冊。
来年はもっと見極めて買っていきたいなぁ。
古本率を高めたいのも、相変わらずの宿題。
*1:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)、ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
*3:リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
*5:ダールグレン(1) (未来の文学)ダールグレン(2) (未来の文学)
*11:彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)
*12:アジャストメント―ディック短篇傑作選 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-20)
*15:剣姫―グレイスリング (ハヤカワ文庫 FT カ 6-1)
*17:アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)、アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (英国パラソル奇譚)、アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)
*18:魔法の誓約上 (最後の魔法使者2) (創元推理文庫)、魔法の誓約下 (最後の魔法使者2) (創元推理文庫)
*24:ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
*26:ピザマンの事件簿2 犯人捜しはつらいよ (ヴィレッジブックス)
*29:殺人感染 (上) (扶桑社ミステリー)、殺人感染 (下) (扶桑社ミステリー)
*32:フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)
*33:リアル・スティール (ハヤカワ文庫NV)、リアル・スティール (角川文庫)
*38:魔女の目覚め 上 (ヴィレッジブックス)、魔女の目覚め 下 (ヴィレッジブックス)
*39:十字の刻印を持つふたり―アニタ・ブレイク・シリーズ〈1〉 (ヴィレッジブックス)
*41:ジェイン・エア(上) (光文社古典新訳文庫)、ジェイン・エア(下) (光文社古典新訳文庫)
*42:オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)
*47:巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)
*48:逆光〈上〉 (トマス・ピンチョン全小説)、逆光〈下〉 (トマス・ピンチョン全小説)
*52:ナチを欺いた死体 - 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実