星雲組曲

『星雲組曲』張系国〈国書刊行会 新しい台湾の文学〉読了
台湾SFの短編集

 収録作品
・「帰還」帰
・「子供の将来」望子成龍
・「理不尽な話」豈有此理
・「夢の切断者」翦夢奇縁
・「銅像都市」銅像
・「青春の泉」青春泉
・「翻訳の傑作」翻訳絶唱
・「傾城の恋」傾城之恋
・「人形の家」玩偶之家
・「帰還」帰
・「夜曲」夜曲
・「シャングリラ」香格里拉
・「スター・ウォーズ勃発前夜」星際大戦爆発以前
・「陽羨書生」陽羨書生
・「虹色の妹」虹彩妹妹
・「最初の公務」第一件差事
・「落とし穴」陥穽
・「緑の猫」緑猫

台湾のSFなんて全く想像がつかないんで、楽しみにしてたんだけど……
もう一ひねりというか、「さぁ、これから」というところで終わっちゃうんだよなぁ。
設定は結構面白くて、その説明は細かくする割には人物描写があっさり。なんか、キャラクター全てが

唐突な印象を受けた。
イマイチ感情が見えてこなくて、しかも主人公は基本的に自分の周りのことだけにしか気をかけない感

じ。けっこう脇役がかわいそうになっちゃいました(笑)保守的なのは文化の差?
ちなみに、同じ未来史に属している短編集です。それほど有機的に結びついてないけど。
中国系のSFなら「人びとが降った日」の方が面白いなぁ(違うって)


そんな中、いくつかお気に入りは、
・「銅像都市」
 300メートルもの巨大な銅像が立っている町。
 支配者が代わるたびに、銅像を大きくしていく歴史。
 これは物語と言うより、説明だけなんで、かえって面白かった(笑)
・「翻訳の傑作」
 天牙星系の宇宙船乗組員が消されてしまう。
 容疑者のカイウェン族を捕まえたものの、彼らは犯罪や悪の定義さえない平和的な種族。
 一方、犯人を見つけなければ、宇宙大戦勃発は必至。
 捜査班と翻訳官は、カイウェン族の星に調査に向かうのだが……
 面白かったんだけど、ラストの主人公の結論がなぁ。
 奥さん戻ってこないと思う。
・「シャングリラ」
 世界初の宇宙探査の一員だった男。
 目的地に向かう途中で降り立った、黒石星。
 そこは黒い石だけで、生物がいないと思われていたが、
 実は、その石こそが生命体だったのだ。
 石たちは紋様で意思疎通をしているらしく、彼は言語の代わりに、麻雀をしてみせると……
 これはバカSFでよかったです。オススメ。

 
と思ったら、この三つは昔、S-Fマガジンに掲載されたやつじゃない。確かに他のはな……
あと良かったのは、「子供の将来」「虹色の妹」あたりかなぁ。