タイムマシンの殺人

タイムマシンの殺人 (ダーク・ファンタジー・コレクション)

タイムマシンの殺人 (ダーク・ファンタジー・コレクション)

『タイムマシンの殺人』アントニー・バウチャー〈論創社Dark Fantasy Collection 3〉読了
意外なことに、バウチャー短篇集が出るのは初めて。
収録作品
・「先駆者」The First
・「噛む」They Bite
・「タイムマシンの殺人」Elsewhen
・「悪魔の陥穽」Sriberdegibit
・「わが家の秘密」Secret of the House
・「もうひとつの就任式」The Other Inauguration
・「火星の預言者」Balaam
・「書評家を殺せ」Review Copy
・「人間消失」The Anomaly of the Empty Man
・「スナルバグ」Snulbug
・「星の花嫁」Star Bride
・「たぐいなき人狼」The Compleat Werewolf
お気に入りは、
・「先駆者」
 原始時代。
 一族のものが死んでいく中、食事で族長はあることを発見する。
 ショートショートでどうと言うことはないんだけど、
 なんか食事が美味そうなんだよね(笑)
・「悪魔の陥穽」
 バーで本物の魔術師と出会った弁護士。
 なんでも一つ願いを叶えてやると言われるが、
 信じておらず、いつもの口癖の悪態、「永遠に呪われてしまえ」と言ってしまう。
 しかし、それが現実になり、一日一悪をしないと悪魔に魂を獲られてしまう呪いにかかる。
 大層な悪事をしなくてもいいため、命は取られないが、彼の良心が許さない。
 はたして、悪魔を出し抜くことができるのか?
・「わが家の秘密」
 グルメの夫。
 彼は金星料理至上主義で、いくら妻が頑張っても貶すばかり。
 そこで、彼女が夫を見返すために思いついた方法は?
 『美味しんぼ』みたいな話。これもかなり美味そう。
・「人間消失」
 着ていたかのような服だけを残して姿を消した男。
 探偵は、知恵袋の博士の元に行くと、
 それは被害者が聴いていた呪いのレコードせいだと言うが……
 この博士がかなりキャラ立ちしている。
 もしかしてシリーズもの? それなら他のも読みたいなぁ。
・「スナルバグ」
 理想の病院を建てるため、悪魔を呼び出した医者。
 しかし、現れたのは力の弱い小さな悪魔だけ。
 悪魔は明日の新聞を漏ってくるので精一杯。
 医者はそれを使って、要人を助けたり、競馬の大穴に賭けようとするが……
・「たぐいなき人狼
 プロボーズを断られた大学教授。
 酒場で出会った魔術師に、人狼に変身できると言われる。
 次の朝、酔いが醒め、変身の言葉を口にすると……
 ちょっと冗長だけど、けっこう楽しめました。
 「タイムマシンの殺人」のファーガス、「悪魔の陥穽」のオジマンディアスが登場。
 オジマンディアスのカルカッタの話が笑える。 


Dark Fantasy Collection自体が、雑誌掲載のみ、埋もれた作品を収録するということだから、さすがに全体的にちょっと古臭いし、のんびりというか、間の抜けた話が多いんだけど、個人的にはなかなか楽しめました。