2006年4月号

S-Fマガジン 2006年 04月号

S-Fマガジン 2006年 04月号

今月のSFマガジンは『創刊600号記念特大号』
ついに600号!
厚い! 高い!


翻訳は中編5本
なかなか読みでがある。
・『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』……コニー・ウィリス
 クリスマスの飾り付けを専門会社に頼むようになった未来。
 リニーはそのクリスマスプランナー。
 クリスマスが目前に迫っているのに、何度もプランを変える顧客に頭を悩まされる日々。
 そんなある日、初めてプランナーを使うという老婦人から依頼が入る。
 感じのいい婦人なのだが、その若い甥はなんだか不服そう。
 その二人の正体と目的は?
 え〜と、ラブコメ
 以前載った『からさわぎ』とちょっと雰囲気が似てるかも。
 軽快なテンポで面白かったです。
・『1873年のテレビドラマ』……R・A・ラファティ
 ある天才が、すでに1873年にテレビドラマを放映していた。
 残された13本の作品の内容とは?
 ラファティにしてちょっと長め。
 最初は割とまともなんだけど、だんだん、様子がおかしなことに。
 主演女優、一人○役やりすぎ!(笑)
 原題は"Selenium Ghosts of the Eighteen Seventies"なんだけど、
 ノイズのゴーストと幽霊を引っ掛けてるのかな。
・『オールモスト・ホーム』……テリー・ビッスン
 トロイが、ある日、いつも遊んでいる競技場に行くと、
 そこは墜落した飛行機をカモフラージュするために建てたことに気づく。 
 親友のバグと、背中が曲がった従姉妹のチュトと共に、
 スポーツドリンクを燃料に飛行機を飛ばす!
 世界観も設定もよくわからないんだけど、今月号ではこれが一番のお気に入り。
 児童文学っぽく描かれていて、雰囲気がはまっている。
 夢だったのか、それとももう一つの町に行ったのか。
ラストはしんみり。
・『グラス・フラワー』……ジョージ・R・R・マーティン
 惑星クローン=デニで、精神と肉体を入れ替えるゲームを行っているキュレイン。
 ある日、伝説のクリロマスを名乗るサイボーグが現れる。
 彼は数世紀生き続け、死ぬことの出来る肉体を纏いたいというのだが……
 マーティンのSFって、なんかおどろおどろしいファンタジーっぽいんだよねぇ。
 好きだけど。
 ラストは『攻殻』かと思った(笑)
・『プランク・ダイヴ』……グレッグ・イーガン
 ブラックホールに潜ろうと計画している《カルタン》ポリスのジゼラ。
 そこに、地球の肉体人の美徳を唱える《アテナ》から、二人の親子がやって来る。
 ダイヴに立ち会いたいというのだが、それなら地球からでもできる。
 彼らの目的は?
 ダメだ! わからね〜!
 脳の理系領域があと10段階くらいアップしたら面白く感じるのかもしれないけど、
 今のレベルではダメでした。
 短篇だから、理系パートを無視して読めないんだよなぁ。


「デッド・フューチャーReMix」は、お休み


「SF挿絵画家の系譜」は、新連載
今回は小松崎茂


「MAGAZINE REVIEW」は〈インターゾーン〉誌
"Harsh Oases"ポール・ディ・フィリポ
"WAX"エリザベス・ベア
が面白そう。


8年ぶりのオールタイムベスト発表!
国内は守備範囲外なので、海外物のみ。

海外長篇部門
1『ソラリス』『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム
2『幼年期の終りアーサー・C・クラーク
3『夏への扉』ロバート・A・ハインライン
4『火星年代記レイ・ブラッドベリ
5『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター
6『地球の長い午後』ブライアン・W・オールディス
7『万物理論グレッグ・イーガン
8《ハイペリオン》4部作 ダン・シモンズ
9『ハイペリオンダン・シモンズ
10《ハイペリオン》2部作 ダン・シオモンズ
11『ノーストリリアコードウェイナー・スミス
12《新しい太陽の書ジーン・ウルフ
13『ユービック』フィリップ・K・ディック
14『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?フィリップ・K・ディック
15『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン
16『ニューロマンサーウィリアム・ギブスン
17『宇宙船ビーグル号』A・E・ヴァン・ヴォクト
18『順列都市グレッグ・イーガン
19『ブラッド・ミュージック』グレッグ・ベア
20『エンパイア・スター』サミュエル・R・ディレイニー

う〜ん。相変わらず古い作品ばかり。
ソラリス』は新版も出たし、妥当なのかな?
万物理論』はもっと上に行くと思ってたんだけどなぁ(行って欲しかった……)
熱狂的に『夏への扉』を推す人には会ったことないんだけど、3位か……何故?
『ああっ女神さま』好きに会ったことないのに、何故かいつもトップにいるのと同じ現象か?(笑)
8〜10位に釈然としないものを感じるのは俺だけ?
未読なんでなんとも言えないんだけど、《ハイペリオン》シリーズでまとめるわけには行かないの?
ソウヤーは入ってないのね。好きなんだけど、決め手に欠けるのかなぁ。
あんまり量読んでないから投票してないんだけど、意外に半分以上読んでるな。
次回は出そうかしら(8年後?)
『エンパイア・スター』は異彩を放ってるなぁ(笑)読んでみようかしら。

海外短篇部門
1『しあわせの理由』グレッグ・イーガン
2『あなたの人生の物語テッド・チャン
3『フェッセンデンの宇宙』エドモント・ハミルトン
4『アルジャーノンに花束をダニエル・キイス
5『たったひとつの冴えたやりかたジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
6『冷たい方程式』トム・ゴドウィン
7『接続された女ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
8『たんぽぽ娘ロバート・F・ヤング
9『ショイヨルという名の星』コードウェイナー・スミス
10『太陽系最後の日』アーサー・C・クラーク
11『夜来たる』アイザック・アシモフ
12『愛はさだめ、さだめは死』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
13『シャンブロウ』C・L・ムーア
14『地獄とは神の不在なり』テッド・チャン
15『理解』テッド・チャン
16『祈りの海』グレッグ・イーガン
17『鼠と竜のゲーム』コードウェイナー・スミス
18『地球の緑の丘』ロバート・A・ハインライン
19『無常の月』ラリイ・ニーヴン
20『少年と犬』ハーラン・エリスン
20『フロストとベータ』ロジャー・ゼラズニイ

短篇部門の1・2位は文句ありません。
テッド・チャンは強いなぁ。
『地獄とは神の不在なり』は物凄いショックを受けた作品。個人的には、もっと上かな。
アルジャーノンに花束を』が短篇部門のみに入ってるのが、SF者らしさが出てて笑える。
あとから見ると、投票すればよかった。
テリー・ビッスンの万能中国人シリーズを入れたのに!(笑)