BLACK ALICE

『黒いアリス』トム・デミジョン〈角川文庫〉読了

莫大な遺産を相続することになった11歳の少女アリス。
家庭教師のゴドウィン先生とともに夏休みを過ごしていたのだが、
退屈しかけていたある日、彼女は何者かに誘拐されてしまう!
退屈を吹き飛ばす「ユーカイ」に興奮するアリスだったが、
誘拐犯によって姿を隠すため、彼女は肌が黒くなる薬を飲ませられ、黒人の少女にされてしまう。
さらに、治まっていた二重人格の症状も現れ始め……

どうよ、この強烈な表紙!
トマス・M・ディッシュジョン・スラデックの合作による、かなりのレア本。
以前からどうしても読みたくて、凄い値段(また……)で買ってしまいました。


今まで古書店で一度も売っているのを見たことがないというレア度の高さから、
どんな物凄い内容なのかと、かなり楽しみにしてたんだけど、
アクセル踏みすぎて、ちょっと空回りしてしまいました。
期待してたほど、面白くなかった……
変な小説なんだけどね。


復刊されても(されないだろうけど)、内容的にちょっとピンとこないかも。
時代がかなり昔の設定で、黒人差別が重大な要素なんだけど、別にそれがストーリーのメインテーマじゃないんだよね。
KKKが当たり前に集会をして、往来で黒人を虐待している空気って言うのが、
たぶん、日本人には実感がわかないよなぁ。
深夜の森で、燃えた十字架と白いフードっていうイメージしかないもの。


そんなわけで、純粋な読み物としては、昨日の『博士と狂人』の方が面白かった。
不純な要素が絡むと、こっちの方が面白いと言わざるを得ないかもしれないけど(笑)