Big Eyes



『ビッグ・アイズ』鑑賞


アリス・イン・ワンダーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のティム・バートン監督が、1960年代アメリカのポップアート界で人気を博した「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻の間に起こった出来事を描いたドラマ。悲しげで大きな目をした子どもを描いたウォルター・キーンの「ビッグ・アイズ」シリーズは、ハリウッド女優たちにも愛され、世界中で大ブームになる。作者のウォルターも美術界の寵児として脚光を浴びるが、実はその絵はウォルターの妻マーガレットが描いていたものだった。絵は飛ぶように売れていくが、内気な性格のマーガレットは、自分の感情を表すことができる唯一の手段である「ビッグ・アイズ」を守るため、真実を公表することを決意する。マーガレット役に「アメリカン・ハッスル」「魔法にかけられて」のエイミー・アダムス、ウォルター役に「イングロリアス・バスターズ」のクリストフ・ワルツ

クリストフ・ヴァルツを摂取しすぎて、クラクラするw


1960年代的世界を舞台にするバートンだけど、1960年代と明言した作品て珍しくない?
それは、バートン初(だよね?)の実話ベースの物語だから。


バートンといえば、ファンタジーとマイノリティと孤独の作家だけど、実話を元にしているとはいえ、今作でもそれは健在。


本当は妻の作品である「ビッグ・アイズ」を自分が描いているという嘘を付き続けてしまう男。
その虚構(=ファンタジー)を自分自身で信じてしまう姿は、日本人なら、某作曲家と重ねてしまう。
あそこに至るメカニズムの一端を垣間見た気になる。
芸術が自身の表現の発露で、評価はそれの付随物だとしたら、ここに出てくるウォルターは名声だけにしか興味が無いんだよね。
作品(=感情)と切り離せちゃってるから、その嘘を自分で信じ込めちゃう。


ウォルターを演じる、クリストフ・ヴァルツがホントにうそ臭くてたまらない。虚構の中で生きちゃう人がハマる人だよなぁ。
嘘に覆われた核が顕になっちゃう楔を打ち込まれた時の激昂も素晴らしい。
対する妻を演じるのは、エイミー・アダムス。『アメリカン・ハッスル』の時とは裏腹に、もっさりした感じも上手い。本人と結構似てます。


嘘つきもののノンフィクションなら、『嘘をついた男』*1を、絵画なら、ファン・メーヘレン*2とかトム・キーティング*3あたりを映画化してほしいなぁ。