死体につく虫が犯人を告げる
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『死体につく虫が犯人を告げる』マディソン・リー・ゴフ(草思社)読了。
どういう本かというと、『死体は語る』とか『FBI心理捜査官』系の本。
著者は法医昆虫学者。
なんだ、そりゃ? と思う人もいるだろう。俺もこの本読むまで知らなかった。
死体にたかってる虫を捕まえて、そこから死亡推定時間を探る仕事。
つまり、ウジは柔らかい死肉が好きだけど、カツオブシムシは乾燥しないと寄ってこない。
この二種が同時にやってくることはないわけで、その虫の成長具合と死体に来るまでの時間なんかを計算して推定するのだ。
腐乱死体そのものの死亡時間を推測するのはかなり難しいので、虫という時間に確かなものを使い、時には捜査官を唖然とさせるほど正確な時間を割り出したりもする。
感想としては、かなり面白く読めた。
けど、なんか全体的に固いんだよね。
腐乱期の観察開始と院生の欠席の増加は比例していると思われる、とジョークだと思うんだけど、なんか笑えない。
それから、事件の理由や顛末についてはほとんど触れられなくて、時間を推測しておしまい。
この辺は『死体は語る』の方がドラマチックに書かれていると思う。
本の3分の2くらいが、ひたすら腐敗実験。埋めたのやら、浸かったのやら、吊されたのやら、焼かれたのやら。ちなみに、23キロの豚を使用。
後半は裁判で証言するときの話や遺体を検屍するときの感情などで、やっとドラマっぽくなる。
俺は、食事しながら、ミイラでも拷問でも食人でも切り裂きジャックでも読めるけど、これだけはダメだったわ。
ひたすらウジ虫の観察について書かれているものを、おむすび食べながらは読めませんでした。