COUNT DOWN CITY
- 作者: ベン・H.ウィンタース,Ben H. Winters,上野元美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/11/07
- メディア: 単行本
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失踪した夫を捜してくれないか――元刑事のパレスは、知人女性にそう頼まれる。小惑星が地球に衝突して人類が壊滅すると予測されている日まで、あと七十七日。社会が崩壊していくなか、人ひとりを捜し出せる可能性は低い。しかし、できるだけのことをすると約束したパレスは手がかりをたどりはじめる。奇妙な店、学生たちが支配する大学、難民が流れつく海辺……捜索を始めたパレスは、混迷する終末の世界を目にする。『地上最後の刑事』に続き、世界の終わりの探偵行を描いたフィリップ・K・ディック賞受賞作!
『地上最後の刑事』*1の続編。三部作の第二巻。
前作が人類滅亡まで半年後だったのが、今作はついに80日を切る。
100日前は、まだなんとか警察もダメながらにも警察として機能し、町も寂れた商店街風だったのが、今回はかなり終末の気配が強くなっている。
警察はクビになり、絶望的な状況になっても、古い知人の頼みで夫を探すパレスは正義の人で、世界最後の良心かもしれないけど、同時に状況に対応できない狂人でもある。
そんな彼にとっては、なんの縛りもなく、思う存分探偵の真似事ができる現状は幸せなのかもしれない。
自由に行動できると同時に強烈な目的意識をもったペレスは、終末のうってつけのガイドである。
彼の目に映るのは、世界が滅びようとしていながら、それまでと同じような行動をする人々。全員が全員「ヒャッハー!」にはならないし、徐々に茹でられるカエルのようにパラダイムシフトは起きないから、破滅をわかっていながら実感がなく、惰性でそれまでの生活を続けている(と思っている)感じは、なんとなく理解できるんじゃないかなぁ。
世界が緩やかに滅亡に向かっているのと並行して、ハリウッド的カウンター・アポカリプスな企みが進行している。
普段なら陰謀論的妄想と片付けられてしまうはずの彼女らの活動は、緩慢な悪夢の世界においては賞賛したくなってしまう。
それが実現するとは思えないんだけど、はたして、最終巻では何が待っているのか?