Upside Down



『アップサイドダウン 重力の恋人』鑑賞

ジム・スタージェスキルステン・ダンストが主演、アルゼンチンの巨匠フェルナンド・E・ソラナスの息子フアン・ソラナス監督が描いたSFラブストーリー。太陽を周回し、真反対に引力が作用する双子惑星で、貧困層の住む「下の世界」の少年アダムは、富裕層が暮らす「上の世界」の少女エデンに恋をする。互いの世界を行き来することは固く禁じられていたが、2人は人里離れた丘で交流を深めていた。しかしある日、2人は一緒にいるところを見つかってしまい、上の世界の人間と交流した罪でアダムの家は焼き払われてしまう。それから10年後、アダムは2つの世界をつなぐ「トランスワールド社」に入社し、上の世界に潜入してエデンとの再会を試みる。

そんな世界がありうるの? という疑問はさておき、ビジュアル的には結構面白い。
ただ、それが支える物語が、調味料を入れ忘れたかのように締りがなく、どうにもぼんやりしている。


そうなると次に気になっちゃうのは、設定のディティール。
なんでそこまで上と下の交流が禁じられているのか? なんで下の世界は石油が出るのに上に支配されているのか? ボブが首になったのってアダムのせいじゃねえの? 法外な値段がつくなら切手をもっと密輸しないの? とか、色々噴出。


一番問題なのは、逆物質の設定。
上と下の物質は一定時間接していると燃えちゃう、という設定なんだけど、それは途中に出てくるインゴットみたいなもの限定の話? でも、最初に、上から降ってくる逆物質で下の世界は暖を取ってるって言ってるよなぁ。それなら、石油のパイプラインとか、上下をつなぐビルとか作れないと思うんだけど。
そもそも、上と下の世界の恋人同士が触れ合うことが出来ない、しかも触れ合いすぎると燃えちゃう、ていう方がロマンスとしては自然な気がするんだけどなぁ。
何の説明もなく、燃えないベストが出てきちゃうのも、あまりにご都合主義。


見どころは、キルステン・ダンストがまた逆さまキスをすることぐらいかな(笑)