Shutter Island

シャッターアイランド』鑑賞


ネタバレせずに感想書くのが難しい映画だなぁ。
比較対象にぴったりの作品があるんだけど、その名を出した時点でネタバレ(笑)
一つだけ言えるのは、キャッチコピーみたいな映画じゃないですよ。ミステリとして見ちゃうと物足りないかも。
悪夢世界はサイレントヒルのようで気持ち悪く、そこは見所。


というわけで、以下はネタバレ全開感想なので、見ようと思ってる人は、スルーの方向で。


原作がルヘインだし、CMも不可能ミステリー的に打ってるけど、これはミステリ(サスペンス)の体をとった、最新(当時の)精神医療もの。
どれが現実で、どれが嘘、という見方自体が意味がなく、全編、主人公の記憶とグループセラピーとロールプレイングが混然と化した妄想で、彼にとってはそれが現実。
隠された謎をいくつ見つけられるか的なキャッチコピーだけど、『シックスセンス』や『ユージュアル・サスペクツ』のような騙される快感を求めると肩透かしを食らう。ある意味、映画のお約束を逆手に取っていて、ミステリなら後に明かされるようなおかしなシーンや演出は冒頭から目に付くけど、それらはおかしいまま。なぜなら、それが事実だから。現実のはずなのに妙に浮いた描写、逆に非現実的な幻覚なのにリアルなディティール、登場人物の使い回し、そっけなかったり、繰り返される表現、すべてが病状と治療の過程を表している。テディの世界は薄っぺらく、記憶とイメージと身の回りだけで完結していて、船の様子を見た限りでは、本当に島なのかも疑問。
ロボトミーや大量投薬から、対話型への過渡期を描いた物語で、例えるなら『カッコーの巣の上で』なんだけど、あれが怪物としての精神科の勝利だとすると、こちらは医者も患者も負けてしまう悲劇。ラストひじょうに良く出来ていて、結局捜査官に戻ってしまったテディの晴れ晴れしい表情と、対照的なチャックの徒労感は素晴らしい。