Doctor Strange


『ドクター・ストレンジ』鑑賞


アベンジャーズ」シリーズをはじめとするマーベル・シネマティック・ユニバースに連なる一作で、テレビドラマ「SHERLOCK シャーロック」などでおなじみのイギリスの人気俳優ベネディクト・カンバーバッチが、魔術を操る異色のヒーロー、ドクター・ストレンジに扮したアクション。天才的な技術を誇るが傲慢な性格だけが欠点の神経外科医スティーブン・ストレンジは、不慮の事故で両手の機能を失い、築いてきたキャリアの全てが崩壊する。手の治療と失われた人生を取り戻すため、あらゆる手段を模索するストレンジは、やがて神秘に満ちた魔術の力へとたどり着く。魔術の修行に励むストレンジは、強大な敵との戦いに巻き込まれていき、医師として相手を傷つけることに苦悩し、外科医に戻るか最強の魔術師として戦う道に進むかの選択を迫られる。

まぁ、もうネタバレ全開でいいよね?


う〜ん……
MCU最高傑作とは言えないよなぁ。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー*1(が一番好き)は言うに及ばず、『ウィンター・ソルジャー』*2アントマン*3にあった映画作品としての満足度は非常に低い。
カンバーバッチはステレンジしか見えないから、キャスティングは見事。


二時間切ってるんだけど、なんか微妙にタルいんだよなぁ。
「ビギンズ」ものの中では一番良く出来てるし、これまでのMCUとは違う世界観なので、ここから初めてマーベル映画に入るのはいいと思うけど、そのアベンジャーズとは無関係の設定及び初お目見えのストレンジというキャラクターを説明するのはやはり必要なので、その出足が鈍い。


MCU初とも言える修行ものなのに、その過程があまり描かれないため、どのくらいの期間修行し、ストレンジが成長しているのかよくわからない。
少林寺三十六房*4は言うに及ばず、そこはアジア映画の先人たちを真似てほしかった。チベットで修行するんだし。


また、お約束とも言えるコミカルなシーンだけど、予告のときはあんなに面白かったのに、映画のシークエンスとなると、唐突かつサムい。浮遊マントは愛らしいけど、結局コミックリリーフ的にしか登場せず、後半はまるで存在感なし。もったいない。
クリスティーンが倒れたモップで驚くシーンは可愛かったけどw


一方で、空間がフラクタルに展開しつつ、無限に折りたたまれていくような魔法表現はこれまで見たことがないもので、IMAX3Dで見る価値がある。


ちょっと物議をかもしたエンシェント・ワンの改変は個人的には大歓迎。
性別も年齢も不詳な感じはティルダ・スウィントンらしいし、ケルトの時代から生きているとうのは、もしや、モーガン・ル・フェイあたりと関わってくるのかしら?というくすぐりにもなっている。


改変と言えば、コミックでは宿敵のモルド(キウェテル・イジョフォー)が、映画版では頼れる兄弟子として登場。
彼が今後ウォン(も出てくるけど)的な役割を演じるのかなぁ、と思ったら、彼の存在がこの作品一番の瑕かも。


ここから完全ネタバレ。


結果的に、どうしてモルドが闇落ちしちゃうか、よくわかんないんだよね。そこまで原理主義にも、エンシェント・ワンに心酔しているようにも見えないし。
同時に、話の軸になってる闇の力を使うことの是非もよくわからない。絶対的に触れてはいけないものとして出てくる割には、エンシェント・ワンはうまく使ってるわけだし。
また、敵のカエシリウスマッツ・ミケルセン)がなんであの時点で行動を起こすのか全く理由が説明されない。もっと早く動いていれば、ストレンジが成長する前だから、ドルマムゥを招き入れられたのに。
聞き分けの良いドルマムゥさんがここで退場、というか登場したのも意外。サノスと二正面対決は大変なのかもしれないけど。


闇の勢力周りが上手く交通整理されてない印象で、それを解決するには、原作のバロン・モルドの設定をカエシリウスにはめたほうが良かったんじゃないかなぁ。
エンシェント・ワンは、ストレンジがソーサラー・スープリームになるために、あえて、カエシリウスを野放しにしていて(だから図書館の警備も緩い)、甚大な被害が出ることも黙認したために、モルドは師匠を信じられなくなる、的な方がスムーズだと思うんだけど。