Who Am I - No System Is Safe



『ピエロがお前を嘲笑う』鑑賞


「コーヒーをめぐる冒険」のトム・シリングが天才ハッカー役を演じたドイツ製サイバースリラー。並外れたコンピューターの才能を持つ青年ベンヤミンは、正体不明のハッカー集団「CLAY」からメンバーになるよう誘いを受ける。彼らはやがて危険な陰謀に巻き込まれ、警察からもマフィアからも追われる身となってしまう。「4分間のピアニスト」のハンナー・ヘルツシュプルンク、「愛さえあれば」のトリーネ・ディアホルムが共演し、「23年の沈黙」のバラン・ボー・オダー監督がメガホンをとった。ドイツの人気エレクトロ・ユニット、ボーイズ・ノイズが楽曲を提供。

ユージュアル・サスペクツ*1とか『メメント*2とか『シックス・センス*3みたいな映画を、〈マインドファックムービー〉ッて言うんですってよ、奥さん
……いつから?


この手の映画をジャンル付しちゃうのって、結構両刃の剣だと思うんだよね。
だから見に行くって人もいるけど、オチの驚きも薄れるというか……
そもそも、『ユージュアル・サスペクツ』に似てるとか『シックス・センス』みたい、と例えた時点で半分ネタバレのようなw


というわけで、以下ネタバレ感想。


つまらなくなはいけど、う〜ん、こんなもんか。上映中、飽きなかったけどね。
「観客を騙す」を気にしすぎちゃって、要所要所に目が行き届いていないというか。
この手の作品は、改めて答え合わせすると、「確かにそういうことか!」というアハ体験wがあるけど、今作は、むしろ「あれ、おかしくない?」という疑問ばかりが。


ユージュアル・サスペクツ』的に全部が騙りなんだから、MRX=ベンヤミンなら、まぁ、ありがちなどんでん返しではあるものの、まだ良かった気がする。
ただ、その騙りも、つつけば簡単にボロが出ちゃうと思うんだよなぁ。騙りの中の火事現場で消防車のサイレンが聞こえていたり、マリの男友達の存在とか。カイザー・ソゼの凄いところは、彼の騙りは第三者が証明できないんだよね。
あと、マリの存在もよくわからないんだよなぁ。彼女も最初から仲間だった、のほうが収まりいいけど、そこに関しては描かれないから、フェアじゃない。


多重人格ネタというミスディレクションも、『ファイト・クラブ*4のポスターやマグリットの『複製禁止』(冒頭に出るスパイダーマンは〈クローンサガ〉かな?)とか匂わせてるものの、もうちょいスマートにできたらよかったのに。


で、何と言っても、ボスキャラのMRXがダサすぎる。
彼ほどのハッカーなら、ベンヤミンの仕掛けるトリックくらい見抜けるんじゃないの?


ソーシャルハッキングが最強というところは好感が持てるけど。