TALES OF ZOTHIQUE
- 作者: クラーク・アシュトン・スミス,大瀧啓裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/08/30
- メディア: 文庫
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ゾティークものを集めた短篇集。
収録作品
- 「ゾティーク」Zothique
- 「降霊術師の帝国」The Empire of the Necromancers
- 「拷問者の島」The Isle of the Torturers
- 「死体安置所の神」The Charnel God
- 「暗黒の魔像」The Dark Eidolon
- 「エウウォラン王の航海」The Voyage of King Euvoran
- 「地下納骨所に巣を張るもの」The Weaver in the Vault
- 「墓の落とし子」The Tomb-Spawn
- 「ウルアの妖術」The Witchcraft of Ulaa
- 「クセートゥラ」Xeethra
- 「最後の象形文字」The Last Hieroglyph
- 「ナートの降霊術」Necromancy in Naat
- 「プトゥームの黒人の大修道院長」The Black Abbot of Puthuum
- 「イラロタの死」The Death of Ilalotha
- 「アドムファの庭園」The Garden of Adompha
- 「蟹の支配者」The Master of the Crabs
- 「モルテュッラ」Morthylla
パルプ時代の作品はどうも性に合わない。陳腐というか、チープというか。そんなわけで、これもそんなに期待してなかったんだけど、予想外になかなかのアタリ。お約束どおりの展開が、逆に残酷な運命の輪からは逃れられない物語の描写に一役買っている。エピックファンタジィとコズミックホラーを足して、独特のオリエンタリズムを包み込んだような世界観も魅力的。絢爛と腐臭の暮れゆく地球。
相変わらずの訳者の原音主義には辟易するけど。
お気に入りは
・「降霊術師の帝国」
古代の王国にやってきた二人の降霊術師。
彼らはそこに眠る死者を蘇らせ、奴隷のように使っていた。
蘇った王族の一人は、自意識を保っており、なんとか解放される方法を考えるが……
・「拷問者の島」
魔法の指輪によって、銀死病から助かった王子。
死に絶えた都から海に出るが、流れ着いたのは拷問者の島。
王子は想像を絶する拷問を受けるが、一人の少女が助けてくれるといい……
・「エウウォラン王の航海」
幻の鳥の最後の一羽を剥製にし、それを王冠に乗せているエウウォラン王。
ある日、異様な男によってその鳥が生き返り、王冠を掴んだまま飛んでいってしまった。
神のお告げによって、王は鳥を追って船を出すが……
・「クセートゥラ」
山羊飼いの少年。
ある日、見たこともない洞窟の奧に不思議な草地を見付ける。
そこに生えている木の実を食べた途端、自分は王子だと信じ、都を求めて旅に出るが……
・「モルテュッラ」
あらゆる快楽に興味を失った詩人。
彼は墓場で出会ったラミアと逢瀬を続けるようになり、
彼女に生気を吸って欲しいと願うが……
基本的に、最後は主人公の破滅で終わる。異色・奇想好きとしては、「クセートゥラ」と「モルテュッラ」がよかったかな。
「プトゥームの黒人の大修道院長」のラストはラブコメ?