CONFESSIONS OF FLESH-EATER

カニバリストの告白

カニバリストの告白

カニバリストの告白』デヴィッド・マドセン〈角川書店
マドセンの三作目

殺人の罪で投獄された天才シェフ。評論家殺しの無罪を主張する彼は、自身の人生と料理哲学を独房で綴り始める。彼が創造した、人を操れる料理とは?

題名からネタが想像できた人。ハイ、正解!
料理も、セックスも、殺人も全てが肉と交わること。肉を愛する彼にとっては全て同義で、見分けがつかない。
美醜は表裏一体、というテーマは『グノーシスの薔薇』と同様で、至高を目指すと同時に、下品も極まっていく。全てのベクトルは華麗な一品に向けられていて、それを作るための下ごしらえ(いろいろな意味で)は、料理の美しさと対照的にグロテスク。最初は美味そうに見えるレシピも、ページが進むに連れて……
見えない部分こそが本質、そこは見ない(見せない)ことが大切で、それを見た人間は、今までとは同じではいられないはず。ヤマザキの工場でバイトして以来、まるごとバナナが食べられなくなった俺のように(笑)
リーダビリティはかなり良く、一気に読める。ただ、手記の外側の、精神科医とのやりとりをもっと露悪趣味的に見せてくれても良かったかなぁ。