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探索者 (海外SFノヴェルズ)

探索者 (海外SFノヴェルズ)

2005年ネヴュラ賞受賞作

骨董商アレックス・ベネディクトと、その相棒の宇宙船パイロット、チェイス・コルパスのところへ、カップが持ち込まれた。ありふれた合成樹脂製のカップに見えるのだが、鑑定の結果、9000年前に作られたものと判明。しかも、当時の地球から脱出し、そのまま消息を絶って伝説と化した宇宙船〈探索者〉の備品らしいのだ! 今も漂流しているその船を見つけられれば、巨万の富が手に入る。さらに、彼らが移住した植民星マーゴリアも発見できるかもしれない。かすかな歴史の断片から手がかりを求めて調査を開始する二人。しかし、骨董商に反対する学者、横取りを狙う同業者、さらには何者かが二人の命を狙っていた……

正直、新しさも驚きもないし、超光速推進があるから宇宙空間にドラマはない。ニュー・スペオペの絢爛さも、量子SFの小難しさもない。
前半はずっと調査してるだけで、〈探索者〉を探しに宇宙に出るのは後半から。SFとしては退屈しがちだけど、これはSFというより、遠未来の歴史ミステリー。この1万年後から見た“歴史”の断片がそそられる。失われた歴史を発掘していく様は、時代がいつだろうと面白い。それに加えて、ラストのしびれる感じはまさにSFならでは。
陰謀論を唱える人間がちょっと出てくるけど、マクデヴィットの何らかのアンサーに読めるなぁ。
リーダビリティもいいし、細かいこと考えずに、普通にオススメ。
以前(91年!)文庫で出た『ハリダンの紋章』の続きなんだけど、物語は完全に独立しているので、これだけでも十分に楽しめる。現に読んでないし。
アレックスとチェイスは、完全に『アイアンマン』のスタークとポッツに脳内変換(笑)
それよりも、AIのベルはラノベなら同人誌が作られるレベル(笑)サファリルックに超萌えた。