Night Calls the Green falcon

「夜はグリーン・ファルコンを呼ぶ」ロバート・R・マキャモン(『ブルー・ワールド (文春文庫)』所収)読了
友人のオススメで着手

40年前、連続活劇でグリーン・ファルコンというヒーローを演じていた老人。
今では安アパートで、過去のスクラップブックを眺める毎日。
ある日、隣室の友人の娼婦が殺される。
最近世間を賑わしている切り裂き魔の仕業だった。
今まで殺害されたのもホームレスなど、底辺に暮らす弱者ばかり。
警察は何もしてくれないだろう。
犯人の顔を見た彼は、古ぼけたグリーン・ファルコンの衣装を纏い、夜の町に犯人を追う。

やばい。
これには、かなり涙腺を直撃されました。
暴走族に向かって「大いなる力には大いなる責任が伴う」的な決め台詞を吐いたり、
謎の見張り男の正体など、泣き所満載。
ラストの噂が広まっていくシーンも痺れる。
章の分け方も連続活劇風で、にやにやさせられます。
アメコミ者は是非読むべき。オススメ。


ついでに、
架空の(という言い方も変だけど)アメコミヒーロー小説のオススメ。
・『悩みのスーパーヒーロー』
 全てのスーパーヒーローがいなくなり、
 最後の一人になった最強のヒーロー、インディゴの物語。
 インクレディブルの原型みたいな話。
・『ニューオリンズの白デブ吸血鬼
 アメコミ好きのヴァンパイアで、恐怖ずきんというヴィジランテになるシーンあり。
 これが『ラブやん』のカズフサみたいな(考え方が)主人公なのよ(笑)
・『ワイルドカード』の「無敵の勇者タートル」のパート
 泣けます。
・『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険
 劇中劇のエスケーピストはのちにアメコミにスピンオフ。
・『俺はレッド・ダイアモンド』
 アメコミじゃないけど、パルプのミステリコレクターが主人公。
 コレクションを全て奥さんに処分されてしまい……


映画だと、
・『Mr.インクレディブル [DVD]』、『ミステリー・メン [DVD]』、『ギャラクシー★クエスト [DVD]』かなぁ。
『ギャラクエ』はSFだけど含めていいでしょ。号泣。
次点として、『バック・トゥ・ザ・フューチャー [DVD]』のダースベイダーとマクフライパパも入れたいところ。


こうやって並べると、このジャンルの成分分析は
50%の涙
50%のイタさ
でできているのがわかります(笑)


基本的に主人公は小馬鹿にされる対象なんだよねぇ。
人と違うこと(オタク)をやっている、古臭いファッション(タイツ)、と言うマイノリティ。
それでも、己の信念を曲げず、立ち上がるところが胸を打つ。
共感と憧れと反発がない交ぜになった感情がわき起こり、
その全ての根っこが同じというのがこの手の小説の特徴。
あっ、アメコミ小説というか、オタク小説でした(笑)


この手のジャンルでオススメがあったら、教えて下さい〜