P. MORAN, OPERATIVE

探偵術教えます (晶文社ミステリ)

探偵術教えます (晶文社ミステリ)

今週は、大量ミステリマガジンデータ打ち込みやら、
マンガの段ボール詰めで、1冊しか読めなかった……


『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド〈晶文社ミステリ〉読了
ユーモア・ミステリ連作集。
ピーター・モーランは田舎町の、お屋敷付の運転手。
探偵学校の通信講座を受講中
すっかり一人前の探偵のつもりだが、素人以下の推理に、常識がなくおバカな言動、
本人の気づかぬまま事件に巻き込まれているが、運だけでいつも解決してしまう。
そんな彼に、周りの人間も依頼してきて……

 収録作品
・『P・モーランの尾行術』 P. Moran, Shadow
・『P・モーランの推理法』 P. Moran, Deductor
・『P・モーランと放火犯』 P. Moran, Fire-fighter
・『P・モーランのホテル探偵』 P. Moran, House Dick
・『P・モーランと脅迫状』 P. Moran, and the Poison Pen
・『P・モーランと消えたダイヤモンド』 P. Moran, Diamond-Hunter
・『P・モーラン、指紋の専門家』 P. Moran, Fingerprinting Expert

先日のハヤカワFTのユーモアファンタジーで痛い目を見ましたが、これはなかなか面白かった。
でも、ユーモアものは説明するのが難しいなぁ。
「志村、後ろ!後ろ!」系? ちょっと違うか。
解説にもあったように、落語の与太郎のようなキャラクター。
本人はいたって大まじめにやってるんだけど、常にどこか抜けている。
往年の喜劇映画の一場面が目に浮かびそう。


全編が、ピーターと講師である主任警部との往復書簡で構成されている。
その二人のやりとりで、ピーターは明らかに犯人の目の前や事件に遭遇しているのに、
彼はそれに気づいておらず、返事を書く主任警部はその現場にいないから、やきもきしながら指示を出す。
しかし、当のピーターはその指示を無視し、暴走するも、結果的には解決してしまうのだ。
ピーターの手紙は誤字だらけで、比喩や言い回し、皮肉が全く理解できない。
この辺の面白みは書簡ならでは。


お気に入りは、
・『P・モーランの尾行術』
 尾行の練習のつもりで、一人を追ったら……
・『P・モーランの推理法』
 パーティのためのバイオリン奏者を連れてこようとしたら……
・『P・モーランと脅迫状』
 送られてきた脅迫状をどうやって書いたか自分で試していたら……
・『P・モーラン、指紋の専門家』
 明らかに怪しい男の指紋を採るために……