Truth: Red, White & Black

Truth: Red, White & Black

Truth: Red, White & Black

読み始めて半年……
途中、mixyやらアメコミレゴやらに行く手を阻まれたものの、
ついに読了!


『Truth: Red, White & Black』Robert Morales/Kyle Baker (MARVEL)


その前に、一つ謝りたいことが。
ハリー・ポッター』の最新作が出た直後、
南米で早くも海賊版が出たというニュースがあった。
しかし、その海賊版、至る所に翻訳者の、
「意味が分かりませんでした」「訳せませんでした」
というお詫びがあったとか。
それを聞いて笑ったんだけど……
ゴメンナサイ! 今回の俺も同じ状態です!


内容は一言で言うと、キャプテン・アメリカのオリジンもの。
ただし、非常にへヴィな内容。


キャプテン・アメリカカプコンのゲームにも出てくるし、知ってる人も多いと思う。
彼は二次大戦中、お国のために志願するものの、
あまりにも虚弱な体のため、入隊拒否されてしまうスティーブ・ロジャーズという青年。
そんな彼は将軍の目に留まり、超人血清を打たれて誕生したのが、キャプテン・アメリカ


実はこれには膨大な人体実験が行われていた、というのがこの『Truth』。
新婚ほやほやのイザヤ。
黒人のための組合運動などに取り組むモーリス。
MPに意見したため、降格されたエヴァンズ。
彼らは黒人部隊に入隊したものの、毎日ろくな訓練はせず、
トイレ掃除ばかり。
ある日、彼らは訓練中の爆死扱いとされ、秘密施設に移動させられる。
そこでは、超人兵士計画が進められており、彼らは実験台として運ばれてきたのだ。
あるものは破裂して死に、あるものは精神に異常を来す。
生き残り、強靱な肉体を身につけたイザヤたちだったが、
作戦中、彼一人を残してみな死んでしまう。
司令部はナチスの実験施設壊滅に彼を一人で送り込むが……


ひたすら黒人差別発言と歴史が語られている。
陳腐な言い回しだけど、歴史の教科書には出てこない、黒人の迫害の歴史。
強烈なのが、
白人と黒人は血液は成分は同じなんだから、
戦場で黒人の血を輸血して助かることもあるかもしれない、と聞いた士官が、
「それなら死んだ方がマシです」と言うシーン。
こんな調子でずっと続くからなぁ。正直、けっこうきつい。
ここでは白人は非常に醜く、
逆に黒人のキャラクターは表情豊かに描かれているのが象徴的。


後半、舞台は現代になるんだけど、
キャップ=アメリカの体現、
彼の言葉は、そのまま黒人に対する贖罪と言うことなのかな?
また、コスチュームの意味、みたいな台詞も何度も出て来るんだけど、
ちゃんと読みとれていない可能性大なので、そんなこと書いてないかも。


超人兵士計画が、優生学と白人至上主義を元に、
黒人の人体実験の上に誕生したことを知ったキャプテン・アメリカ
果たして、キャップは真実を目にすることができるのか?


それにしても、日本ではあまり想像できない漫画だよなぁ。
例えるなら、仮面ライダー朝鮮人収容所とか南京大虐殺について、
自分の改造手術に絡めて、その真実を探るような内容。


これに限らず、海外は近・現代史とフィクションキャラを絡ませる話が多い。
『Truth』や『マーヴルズ』は歴史の大局は変わらず、そこにアメコミヒーローたちが活躍する話。
ウォッチメン』や『ドラキュラ紀元』シリーズはフィクションを絡ませたことによって、ねじ曲がった歴史の話。
日本も、『スーパーロボット大戦』が歴史に絡めば、『ドラキュラ紀元』とかに比肩できると思うんだけどなぁ。