ILLEGAL ALIEN

[rakuten:book:11101726:detail]
『イリーガルエイリアン』ロバート・J・ソウヤー(ハヤカワSF)読了。
やっぱ、ソウヤーは安心できますな。
だれるところがなく、飽きずに読めて、なおかつ、そりゃ詰め込みすぎだろって言うくらいのアイデアが消化不良にならずに読みきれる。

人類初の、異星人とのファーストコンタクト。他の天体に生命体を見つけるための探検隊として地球を訪れたトソク族は、途中、宇宙船が故障したために修理が終わるまで地球にとどまる。最初は平穏に過ごすが、彼らの宿舎で殺人事件が起きる。被害者は地球人で死体はバラバラにされ、加害者はトソク族のハスクだった! しかも州は彼を逮捕し、第1級殺人として告発する。差別問題・人権問題に強いデイル弁護士がつき、ここに前代未聞、世紀の裁判が始まる……

裁判の過程でトソク族の生態や生活が明らかにされていくのは、さすがにうまく読ませる。
動機やトリックもこの宇宙人ならではで、単に事件を宇宙人に移植しただけではなく、まさにSFミステリだと思う。そして、予想外のラスト。


ソウヤーって人は、スペースオペラ的なSFスタンダードのベタいネタを、現代に持って来ているわけだな。
でも、決してそれは単なるアレンジではなく、全く別のSFを作り出している。
使い古されていて言いたかないけど、ネオスタンダードって肩書きに一番近い人かも。
オススメ。


ちなみに俺が一番好きな作品は、『ターミナル・エクスペリメント』。