THE ARTIFICAL MAN - 茫々たる日々

作者: L.P.デイヴィス,横山茂雄,若島正,矢口誠
出版社/メーカー: 国書刊行会
発売日: 2016/05/25
メディア: 単行本
この商品を含むブログ (23件) を見る

『虚構の男』L・P・デイヴィス〈国書刊行会ドーキー・アーカイヴ〉

時は1966年、イングランドの閑静な小村で小説家アラン・フレイザーが50年後（2016年！）を舞台にしたSF小説の執筆にいそしんでいるところから物語は始まる。気さくな隣人、人懐っこい村の人々はみな彼の友だちだ。やがて一人の謎の女と出会い、アランの人生は次第に混沌と謎の渦巻く虚構の世界に入り込んでいく――国際サスペンスノベルか、SFか？　知る人ぞ知る英国ミステリ作家L・P・デイヴィスが放つ、どんでん返しに次ぐどんでん返しのエンターテインメントにして、すれっからしの読者をも驚かせる正真正銘の問題作！（1965年作）

外界と隔絶した村、親しげだが謎めいた隣人たち、記憶障害の主人公……

M・ナイト・シャマラン実写化決定！

と言われて納得しちゃいそうな作品。
当時のポケミスで出ててもおかしくないよなぁ。

「知られざる傑作、埋もれた異色作を幻想怪奇・ホラー・ミステリ・SF・自伝・エンターテインメント等ジャンル問わず年代問わず、本邦初訳作品を中心に紹介する新海外文学シリーズ〈ドーキー・アーカイヴ〉」の1冊めにこれを持ってきたのは、どういう作品をこれから紹介していくのかというショーケースとして正解だよなぁ。
L・P・デイヴィスは、「乱視読者の小説千一夜」でも紹介してたこともあるけど。

シャマラン実写化、はあながち的はずれでなく（はずれてるけど）、『パインズ』*1にちょっと感触似てるんだよね。
同じように、ジャンル読者ほど、世界の真相を先回りして、そのたびに梯子を外されるｗ
偶然にも、主人公が書こうとしているSFは2016年が舞台。半世紀前の人間が考える2016年像を2016年に読むという、このメタな楽しみ方ができるのは今だけ！ｗ
時代的には、ディックに近い感じもするかなぁ。

ネタバレなしで言えるのはこれくらいなので、一気読みできるエンタメなので、ジャンル読者はオススメ。

予期していたとおり、『四次元世界の秘密』と『忌まわしき絆』が品薄状態。