La ultima slida

ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『ラスト・ウェイ・アウト』フェデリコ・アシャット〈ハヤカワ・ミステリ文庫〉

テッド・マッケイは自分の頭に向けて拳銃をかまえた。妻と娘が旅行中の今日、とうとう自殺を決行するのだ。引き金に指をかけたそのとき、玄関の扉が激しく叩かれた。リンチと名乗った突然の来訪者は、ある「組織」からテッドへ依頼を伝えに来たと語りはじめる。その内容はあまりにも常軌を逸したものだった…。迷宮のごとき物語の果てには何があるのか。異様なるイメージと予測不能の展開が連続する、南米発の“奇書”

一章が短く、矢継ぎ早に場面が転換し、非常にリーダビリティが高い。
しかし、その内容はどこまでが妄想(or幻覚 or夢)で、どこからが真実なのか把握できない。そもそも、本人が真実だと思っているなら、それは真実であり、他者は状況証拠から、判断しているに過ぎないのでは?


「さっきまでのはなんだったの?」という疑問が推進力となり、境界線を探っていく。
それは真実と妄想の境ではなく、目に見える現実と見えない真実の境目なのかもしれない。
虚構と現実、読者と話者の境界なのかも。

作者はアメリカの映画やTVドラマが好きらしく、ビジュアル的でスピーディで、いかにもドラマっぽい。個人的には、21世紀型にブラッシュアップした『ツイン・ピークス*1という印象。
特に随所に現れるオポッサムは印象的で、ブラックロッジと赤い部屋を思い起こさせる。
はたして、オポッサムは存在するのか? 本当に存在するならば、この物語全てが……


変な物語好きにはオススメ!