The Lobster



『ロブスター』鑑賞


アカデミー外国語映画賞ノミネート作「籠の中の乙女」で注目を集めたギリシャヨルゴス・ランティモス監督が、コリン・ファレルレイチェル・ワイズら豪華キャストを迎えて手がけた、自身初の英語作品。2015年・第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。

『変愛小説集』*1に入ってそうなお話。
マルセル・エイメの「カード」*2もちょっと思い出した。
つまり、大変満足。


籠の中の乙女*3はあの屋敷の敷地内だけが異世界だったけど、今作は全世界がおかしい。
45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられてしまうという世界。
それだと、人口が著しく減っちゃわない? それとも、意外にみんなパートナー見つけてるのかしら? 
……なんて疑問はどうでも良くて、全登場人物の言動が「それはどうなの?」というズレた感覚が癖になる。
まず、主人公デビッドが冒頭から、何度もこだわっている「近視かどうか」は結局最後まで理由がわからずw 自分のチャームポイントだと思ってるのかなぁ?
独身者によるテロ(?)も、やはり目的がよくわからず。
他にも、結婚予備軍には子供が派遣されたり、パートナーがいるほうが幸せという茶番劇、森の中の謎なダンスパーティーやら意味もなくラクダが歩いていたり、とにかく変。


婚前交渉やオナニー禁止を見ると、歪んだキリスト原理主義的世界なのかな? 
また、趣味や身体特徴が一致する=幸せ、という考えが強く根付いている様子。
動物になる、という奇抜な設定を抜いても、この二つの要素を脅迫的に従っている世界が異常。
主人公はそこから抜けられるのか?


なかなかの豪華キャストで、コリン・ファレルの冴えないおっさんっぷりは、最初誰だかわからなかった。
レア・セドゥはボンド・ガールより、こういうエキセントリックな役のほうが好きだなぁ。